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人気女優の流出動画から逮捕者!? 国内でも激増する“ディープフェイク”の真相

問題の動画を確認すると、騎乗位で振り乱れる黒髪から時折のぞかせる表情はXそのもの。「映していいけど恥ずかしい。ブサイクだから…」と自嘲する声まで、美声で知られるXそっくり。

「茶褐色の乳首をゆさぶらせて男と一緒に果てる姿に、うっかり騙されそうになりましたが、この動画も耳やうなじの形状などからディープフェイクポルノだったとされています。問題なのは、これからです。〝本物のハメ撮り〟を入手できたとしても、本人や事務所に『ディープフェイクポルノだ!』と否定されたら、もはやお手上げです」(同・関係者)

ディープフェイクの悪用はポルノだけではない。悪意を抱くターゲットを貶める手段としても使われる。

「フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏は、『何十億もの人々から盗み出したデータを、1人の男が完全に掌握している状況について想像してほしい』と、自らを揶揄して語っているかのような偽動画を作成されています。公序良俗に反するような下品な発言を、あたかも本人が言っているようにねつ造できるので、敵の評判を下げることができるというわけです」(外報部記者)

国内ではディープフェイク自体を規制する法律がない

ポルノに次いで悪用されやすいのが政治の世界だ。

マレーシアでは昨年、閣僚が、同国内で禁止されている同性との性行為動画を偽造され、大騒動に発展した。

「アメリカのオバマ前大統領も、18年に『トランプ大統領は救いようのないマヌケだ』と発言したかのような偽動画が作成され、今年11月投開票のアメリカ大統領選でも候補者の支持者が対立相手をからかうようなディープフェイク動画が応酬し合っています」(同・記者)

同様の技術を、詐欺に悪用した例もある。

「イギリスでは、エネルギー関連会社の最高経営責任者が、上司であるドイツの親会社幹部を装う相手に電話で送金を指示され、約2600万円を騙し取られる事件が発生している。親会社の幹部が、動画サイトなどで発言した肉声を収拾・分析され、AIで声を再現されたのです」(同)

日本なら、振り込め詐欺に悪用されそうだ。

「AIで再現した息子や孫にそっくりの声で、年寄りに送金を頼む電話もできる。ディープフェイクであれば、他人の声色を使って即興で会話までできるからね。こうなると手の打ちようがない」(捜査関係者)

国内でディープフェイク自体を規制する法律はなく、今回逮捕された容疑者たちに適用された罪は、いずれも法定刑の上限が懲役3年にしかならない。

「法整備の必要性、厳罰化も論じられ始めたが、表現の自由との兼ね合いもあり、なかなか難しい」(同・関係者)

しばらくはイタチごっこが続きそうだ。

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Denis Petrov / Shutterstock

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