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人気女優の流出動画から逮捕者!? 国内でも激増する“ディープフェイク”の真相

Denis Petrov / Shutterstock

薄いブルーのキャミソールを着た女優の佐々木希がパンティーを脱ぎ捨て、ベッドに横たわる男の下半身にまたがり、両手で包み込むように手コキを始める。少し首を傾げながら甘く囁く表情は、どう見ても佐々木希本人だ。

事情を知らずにこの動画を見せられたら、夫の渡部建がやらかした〝多目的トイレ不特定多数不倫〟に対する復讐の浮気のワンシーンだと信じ込んでしまいそうなレベルである――。

もちろん、これは精巧に作られた偽物の動画、いわゆる「ディープフェイクポルノ」だが、こうした動画がネットに氾濫し、ついに全国初の逮捕者が出た。

10月2日、警視庁はディープフェイクポルノをインターネット上で公開したとして、熊本市の大学生・林田拓海(21)と、兵庫県三田市のシステムエンジニアの大槻隆信(47)の両容疑者を、名誉毀損と著作権法違反容疑で逮捕した。

「2人は昨年12月から今年7月にかけて、芸能人計4人の顔を、AVに出演する女性の顔にハメ込んだ動画を作成した疑いが持たれている。この他にも林田容疑者は約150本、大槻容疑者も約250本ものディープフェイクポルノ動画を公開していて、警視庁は計1200本以上もの動画を作成したとみて、捜査を続けています」(全国紙社会部記者)

林田容疑者は「金が欲しかった」と供述。自らが運営する有料サイトで動画を公開し、約80万円の収益を上げていたという。

「“激似モノ”とかのレベルじゃない」

「同日、京都府警も同じ容疑で大分県に住む無職の野間口功也容疑者(30)を逮捕している。彼らはネット上では〝ディープフェイクポルノ職人〟ともてはやされ、技術指導などにもあたっていた」(同・記者)

ディープフェイクとは、AI(人工知能)の技術「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」を組み合わせた造語。そもそもは、故人のスターを現代の動画でリバイバルさせるために、映画業界が中心となって開発した技術だ。

IT業界に詳しいライターが解説する。

「これまでは、アイドルの顔写真と、別人のヌード写真を合成したアイコラ(アイドルコラージュ)と呼ばれる『静止画』が問題になっていましたが、技術の進歩によって、より精巧な『動画』が出回っているのです。AVのジャンルとして、アイドルや女優、女子アナなどの〝激似モノ〟がありますが、ディープフェイクポルノはそんなレベルじゃない。イメージとしては、そのまんまアイドルや女優のAVが出回っているようなもの。最先端技術の、許しがたい悪用です」