「ダイソーは従来の100円ショップ内に、そうした200円、300円の商品をどんどん取り入れて販売している。また、最初から100円にこだわらず、300円を最低価格にした〝300円ショップ〟を立ち上げました。それが『THREEPPY(スリーピー)』で、すでに国内40店舗を超えています」(同)
では、ダイソー以外の100円ショップの動向はどうだろう。経営アナリストが解説する。
「キャンドゥは約7年前、一度100円商品以外の販売を始めたことがあった。だが、それらの販売が不振だったことに加え、消費税が8%に引き上げられたため、100円均一に戻していた。しかし、昨年7月に養生テープ、充電器、壁掛け時計など、200円~500円商品の販売を開始しました」
ワッツも18年から100円以外の商品販売を始めている。同社は「高額商品」と位置付けている200円以上の商品について、今夏までに現在より3割多い2000品目を目指す方針だという。
一方、業界大手では第2位のセリアのみが、100円均一にこだわり続けている。昨年11月の決算説明会で、セリアの河合映治社長は「当面のところ100円均一販売にこだわる」と宣言した。しかし、そうは言ったものの、原料価格や人件費、配送費の高騰に直面しているのは、ほかの100円ショップと同様だ。
どこまで“100円”にこだわるか否か…
当面の課題をどうしのぐのか、そして、セリアの経営陣はなぜ100円均一にこだわるのか、前出の業界関係者が背景をこう明かす。
「セリアは厳しいながら協業できる企業を探し、100円均一を死守する構えだ。100円を貫けば高額商品に走った他のショップと差別化され、結局は激安を好む顧客がセリアに流れ込み、将来のサバイバル合戦に勝てると踏んでいる」
セリアはこれまで、100円とは思えない〝高く見える商品〟やインテリアのコーディネートなどに役立つ雑貨などで、特に女性の固定客をつかんできた。
片や〝100均の雄〟であるダイソーは、7万6000種類という比類なき商品数とアイデアで、他社の100円ショップを圧倒し、さらに高額商品で、スーパーやドラッグストアなどから新たな顧客を取り込もうという戦略だ。
「どこまで100円にこだわるか否か、今、そこが問われている」(同)
遠くない将来に、おのずと答えは出るだろう。
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