《空気中に浮かぶエアロゾルに関しては、風に舞うと沈降しなくなるため、長期間空中に浮遊する。クラスターが発生した現場を分析すると、密閉空間でエアコンの対流に乗ってエアロゾルが拡散したことが原因だと考えられる》
極端な長距離は別として、近・中距離の空気感染は十分にあるという状況証拠があり、「空気感染はあり得ない」と主張することには無理があるという。つまり、エアコンの対流に乗って漂うエアロゾルこそ、危険因子として警鐘を鳴らしているのだ。
さて、もっと怖いのは、新型コロナウイルスが脳に侵入したときである。
今年3月、山梨県に住む20代の男性が新型コロナに感染した。意識を失ったまま痙攣し、床に横たわっていたところを家族に発見され、山梨大学医学部附属病院に緊急搬送された。
「脳を覆う脳脊髄液をPCR検査で調べると、新型コロナの陽性だった。頭蓋骨と脳の間の髄膜が炎症を起こす髄膜炎とみられ、脳のMRIでは記憶領域にあたる海馬に炎症がありました」(医療関係者)
幸いにも、命に別状はなく、20代男性はしばらくして退院した。退院後は日常生活に問題はなかったが、直近1、2年の記憶があいまいになったというのだ。
ヨーロッパは猛烈な流行で大パニック
「新型コロナというのは、呼吸器疾患と受け止められがちですが、血管が走っているところは血管に沿って感染する。全身がやられるウイルス…、多臓器不全をイメージしてください。一番やられやすいところは脳なんです」(外岡氏)
7月、ドイツの医療チームは新型コロナの神経症状について92本の論文や報告を分析した。その結果、感染者の20%に頭痛、7%にめまい、5%に意識障害がみられた。また、髄膜炎や脳炎、手足が麻痺するギラン・バレー症候群も数例報告されていた。
また、7月に英国のチームが発表した論文でも、新型コロナに感染、あるいは感染の疑いのある43人のうち、10人にせん妄などの脳機能障害、12人に脳炎、8人に脳卒中の症状があったと指摘している。
コロナ新規感染者は爆発的に増えている。老若男女、その感染リスクから逃れることはできない。
「現在、ヨーロッパは猛烈な流行で大パニックになっているが、日本が同じようなことに陥ったら、対応できるのか。何かしらの対策を打ち出さないと、日本が崩壊するような気がします」(外岡氏)
一刻も早い〝GoToコロナ対策〟が必要だ。
【画像】
TeodorLazarev / Shutterstock
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