社会

コロナ感染「1日1万人」秒読み…脳へも侵入するウイルスの恐怖

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クリスマス、忘年会時期を間近に控え、国内の新型コロナウイルス感染者数が劇的に増えている。11月21日には全国で新たに2596人の感染が確認され、1日当たり感染者数としては過去最高となった。

「この日の東京都の感染者の内訳は、20代が139人と最多でしたが、30代110人、40代105人、50代68人、60歳以上は80人と、若い世代が突出していたわけではありません。とはいえ、感染経路不明のケースが約6割を占めており、市中感染の広がりが危惧されています」(全国紙記者)

公衆衛生学が専門の医師で作家の外岡立人氏が指摘する。

「スペインでこの夏発生した変異株の新型コロナ感染者が、国内全体で増加しているのです。北海道で感染者数が急増し始めたのは、10月下旬。東京都はそれより10日ほど遅れて感染者数が増加した。その後、2週間の間に感染者数は2~3倍に跳ね上がった。異常な拡大です。そして、現在も全国的に拡大は急速に進んでいる。問題はその理由が論議されていないこと」

日本で流行した新型コロナ第1波と現在の第3波は、同一のウイルス株ではない。第1波ウイルスよりも、はるかに感染力が強く、感染者数は数倍から十数倍多くなるはずだ。

「第1波ウイルスと比較すると、第3波のウイルスは明らかに重症化率が低く、代わりに感染力が強い。ここで対策を講じないと、大変なことになる」(外岡氏)

第1波のときとは違う極めて危険な状況

このままではニューヨークのように、劇的に感染者数が増え、日本でも1日に1万人を突破するのもそう遠い先のことではない。

「今、ヨーロッパでは、1日2~3万人の人が感染している。第1波のときは東洋人は罹りにくいという事情があったが、第3波はどうだか分からない。極めて危険な状況にあるんですよ」(外岡氏)

そんな中、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室長の西村秀一氏がウェブ開催となった『第61回日本臨床ウイルス学会学術集会』のシンポジウムで、次のような講演を行った。

《新型コロナウイルス感染症の感染経路は空気を媒介したものが主流である。マスクや換気といった空気感染への対策に重きを置かなければ、感染拡大は今後も続くだろう》

《これまでに接触感染で新型コロナを発症したという直接的な証拠はなく、接触感染によって、多くの人が同時に感染するクラスター(集団感染)が発生することもあり得ない》