「今後も長期間にわたって、東日本大震災の余震域や内陸を含む周辺で、規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波が発生する可能性がある」
これは3月20日午後6時ごろ、宮城県沖で発生した地震(M6.9、最大震度5強)に関する政府の地震調査委員会の発表である。
武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が語る。
「1978年の宮城県沖地震は、人口50万(当時)の仙台市が初めて経験した都市型地震の典型でした。もともと宮城沖は規模の大きな地震の起こる確率が高いとされ、東日本大震災の影響で地震がさらに発生しやすくなったと言えます」
同地震は、宮城県沖の陸寄りで繰り返し発生するプレート間地震である。
「1897年以降、4回活動を繰り返しています。平均発生間隔は38年と考えられている。このプレート間地震と、三陸海岸を津波が襲うと想定される〝アウターライズ地震〟は、別と考えたほうがいい」(サイエンスライター)
福島第一原発の追加対策は“手作業”
東日本大震災を例にとり、アウターライズ地震について説明しておこう。
「東日本大震災の本震発生で北米プレート側のひずみは解消されたものの、抵抗する力が少なくなった分、太平洋プレート側はより沈み込みやすい状態になった。その結果、太平洋プレート側のこれまでのひずみに加えて、沈み込みやすくなった状態が重なり、引っ張りの力に耐え切れず太平洋プレートが引きちぎれ、プレート内の浅い場所で正断層破壊が起こる。それがアウターライズ地震です」(同)
アウターライズ地震は正断層の破壊が一気に起こることから、巨大津波を引き起こすという。
「明治三陸地震、昭和三陸地震もアウターライズ地震でした。陸地の最大震度は5程度だったのに、東北の沿岸には高さ30メートル近い津波が襲い、3000人以上の死者、行方不明者が出たと言われている」(島村氏)
気掛かりなのは、福島第1原発だ。
「今日も福島第1原発の取材に行ってきましたが、東京電力の説明によると、いくら防潮堤の高さを上げても、それを上回る高さの津波がくれば簡単に乗り越えてしまう。そこで、原発内の施設に水を入れない水密扉を設置したということでした。ただ、扉を閉めるのは人間の手作業ですから完璧ではない」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)
津波対策は急務だ。
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