新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、寿司店の倒産が相次ぐ中、完全非接触と省人化が功を奏して売り上げを伸ばした回転寿司チェーンのスシローグローバルホールディングス(HD)が、牛丼チェーンの吉野家ホールディングス(HD)傘下の『京樽』を4月1日付で買収する。
「スシローHDは2021年9月期の連結決算で、純利益62.6%増の105億円と過去最高になる見通し。吉野家HDの京樽を買収して、寿司のテイクアウト部門を強化する計画です」(外食産業アナリスト)
1932年に京都市で創業した京樽は、首都圏進出後の84年に東証一部に上場を果たしたが、バブル期の不動産投資やグループ企業の財テクに失敗し、97年に会社更生法を申請した。
「2009年から吉野家ディー・アンド・シー(現・吉野家HD)が資本参加して再建に取り組み、10年に完全子会社化しました」(経済ジャーナリスト)
都心への出店を狙っていたスシロー
吉野家HDは、都心の駅前や商業施設に入居している店舗が大半を占めるため、新型コロナ禍と緊急事態宣言で客足が激減。21年2月期の最終損益は90億円の赤字が見込まれている。
吉野家HDはコロナ収束後を見据えて、「売り上げは落ちても利益が出る企業体質にする」と発表。グループ全体約3300店のうち150店舗を閉店する予定で、その中には京樽の30店舗も含まれていた。
「スシローは国内店の9割以上が地方や郊外のロードサイトに立地しているため、コロナ禍でもファミリー層を取り込んだことで売り上げを伸ばした。かねて都心への出店を狙っていたスシローにとっては、京樽の買収はテイクアウト需要を伸ばすだけでなく、都心に進出するチャンスです」(店舗出店アドバイザー)
スシローの寿司はネタが新鮮でコスパが高いと、グルメ通には好評。寿司ファンの救世主となるか今後も目が離せない。
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