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菅政権が戦々恐々…私立幼稚園連合会「4億円使途不明」政界ルート

私立幼稚園連合会の4億円使途不明問題…政界に飛び火か
私立幼稚園連合会の4億円使途不明問題…政界に飛び火か (C)週刊実話Web

「4億円使途不明事件が政界に飛び火する可能性は極めて高い」

こう懸念するのは自民党長老だ。

先ごろ発覚した全日本私立幼稚園連合会(以下、連合会)の4億円超にも及ぶ巨額使途不明事件。この使途不明金を巡っては連合会側などが3月11日、香川敬前会長と資金管理実務担当だった勝倉教雄前事務局長を業務上横領と私文書偽造などの容疑で警視庁に刑事告訴したことから一気に火がついた。

永田町でも「総選挙前にどこまで捜査のメスが入るのか。場合によっては、汚職の底なし沼となりかねない」として戦々恐々だ。

全国紙社会部記者が一連の経緯を解説する。

「疑惑が勃発している全日本私立幼稚園連合会は、全国の私立幼稚園の約9割、およそ7500が加盟する大組織です。この連合会の収入は年会費1園1万2000円と1園児70円の善意の寄付金で成り立っている。昨年9月に連合会の監査が行われた際、金銭の流れを示す通帳が不提出だったことから疑惑が浮上しました。そして、弁護士を含めた内部調査の結果、理事会には無断で2017年から19年の3年間で3億2594万円、20年も8000万円と、4年間で4億円を超えるカネが使途不明になっていることが明らかになったのです」

しかも、不明金はこれだけではなかった。連合会の関連団体である全日本私立幼稚園PTA連合会でも今年度、約4100万円が使途不明のほか、やはり、関連団体の全日本私立幼稚園幼児教育研究機構でも約1億4000万円が一時引き出されていたことが明らかになり、昨年末、香川前会長と勝倉前事務局長は相次いで辞任に追い込まれた。

森友学園問題との妙な類似点…

コトをより複雑にしているのは、香川前会長らによる金融機関の通帳偽造など隠蔽工作だ。香川前会長はコトが発覚すると1億5000万円を調達し、研究機構への不明金を穴埋めするという奇怪な行動を取っているのだ。

「香川前会長は連合会の調査に対し、通帳偽造で事件をもみ消そうとしたことは認めたが、『私的流用は断じてない』と強く否定しました。香川前会長は自民党とズブズブの関係で政治的動きが活発だった。このことから、消えたカネは自民党筋に流れたのではないかという疑惑の目が一気に広がったのです」(同・記者)

そもそも、香川前会長の政治的動きとは、具体的にどんなことを示すのか。

「連合会は文科省管轄外の任意団体。毎年1000万円が委託費名目で支払われている。国政選挙では香川前会長は自民党ベッタリで、東京五輪組織委員会の橋本聖子会長の選挙集票などにも寄与してきた。また、香川前会長は安倍前首相の地元・山口県の伝統ある幼稚園の運営者である上、山口県の公安委員会委員を務めるほか、多くの公職、名誉職を兼任する地元の名士。つまり、安倍前首相と関係が深いからこそ、連合会会長に選任されたという見方は根強い。実際、安倍内閣が力を入れ実現した幼児教育の無償化では、香川前会長は旗振り役で400万人を超す署名を集めたほど」(霞が関関係者)

全国紙政治部記者が引き継ぐ。

「今回の連合会疑惑で思い出されるのは、安倍内閣時代に大問題となった国有地を格安で払い下げた森友学園事件です。当時、森友学園が計画した小学校の名誉校長には安倍昭恵夫人の名前が取り沙汰された。今回は幼稚園だが、教育機関という点では同じ。さらに、山口県の私立幼稚園協会のイベントで昭恵夫人が講演者として顔を出していたのも気になります」

キーワードは“山口県”と“清和会”

香川前会長と自民党政治家とのパイプの太さを示す別情報もある。

「文教族のドン、森喜朗元首相は全日本私立幼稚園PTA連合会の最高顧問を務め、深い繋がりがある。また、今回は香川前会長を告訴する側に回ったPTA連合会の会長は、河村建夫元官房長官ですからね。河村元官房長官の選挙区は山口県です」(幼稚園関係者)

連合会を取り囲む政界ルートは、山口県、安倍前首相の出身派閥である清和会(細田派)がキーワードとして透けて見えてくる。

「菅首相は香川前会長との繋がりはさほど深くない。仮に、自民党政治家への裏金が発覚しても、他人事として見て見ぬふりをする節がある。しかし、有権者は菅首相の長男による総務省役人違法接待もあり、自民党不祥事=菅首相の責任として映る。4億円使途不明事件がとんでもない〝政界地雷〟となれば、菅政権はもたないでしょう」(前出・政治部記者)

政界地雷といえば、もう1つ気になる事案がある。妻・案里氏の参院選買収容疑で逮捕・起訴され、公判中の河井克行元法相の被告人質問が3月23日から9回にわたり始まる点だ。

「克行被告は事件発覚前、菅首相の腹心的存在だった。だから妻の選挙に自民党本部から他候補の10倍、1億5000万円の選挙資金が支給されたとされる。事件で克行被告は離党せざるを得なくなり、選挙区の広島3区は公明党の斉藤鉄夫副代表の出馬が決まって戻る場所がない。克行被告は粘着質な性格だ。自暴自棄になった克行被告が自民党もろとも、自爆テロで選挙資金の内幕を暴露する可能性はある」(検察OB)

菅首相の地雷源となりそうな連合会の政界ルートと克行被告の公判。事の展開次第では〝ガースー〟爆発が起きる。

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