フジテレビの番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)が昨年5月、SNS上で誹謗中傷を受けて自殺した問題で、母親の響子さんが、花さんが亡くなった後も匿名で中傷の投稿を行っていた長野県在住の男性に対し、約294万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことが分かった。
響子さんの代理人弁護士によると、花さんへの中傷に対し、損害賠償を求める訴訟を起こすのは初めて。響子さん側はプロバイダー責任制限法に基づいてツイッター社やプロバイダー側から投稿者の情報開示を受け、男性を特定したという。
訴状では、男性は花さんが昨年5月23日に亡くなった後、ツイッターに、《あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう》《最後まで迷惑かけて何様? 地獄に落ちなよ》などと書き込み、響子さんの心情を著しく傷つけたとしている。響子さん側は、他にも数件の開示請求手続きを進めており、投稿者を特定し次第、順次責任を追及していく考えだという。
加害者へ“同様の罰”を要求する意見も…
この件に対し、ネット上ではさまざまな意見が飛び交った。
《ネットリンチに加担した者たちへの追及は徹底的にやるべき。しかし、同時にこの問題の根本にあるフジテレビ側の炎上仕掛けと、意図的に木村花さんを守ろうとしなかった姿勢は、もっと追及されるべき》
《是非とも名前を公開いただき、同じようにネットからの攻撃を受けるがいい。それでも花さんが経験されたものとは比べ物にならないくらい軽いがな》
などといった、加害者へ〝同様の罰〟を要求する意見から、
《木村花さん中傷の男性提訴で、加害者を許せない気持ちは理解できますが、全く関係のない第三者がこの加害者の男性に対して必要以上の誹謗中傷を浴びせることは何の解決にもなりません。加害者の男性と同じように悪質な誹謗中傷をする人が多いのは残念です。誹謗中傷に誹謗中傷で返しても解決しません》
《この件に限らず日本のネット上には悪意の言葉があふれているけど、彼らは何が目的でこんなことをしているんだろう…》
などの疑問の声も投稿された。中には、とある弁護士からのこんな意見もあった。
《現状では、ネット上に匿名で誹謗中傷された場合、投稿者を特定して法的責任を追及するまで2回の手続きが必要で、手間も時間もかかります。投稿者の特定をしやすくするよう、プロバイダー責任制限法を改正することが検討されており、先月、閣議決定されました。この改正がなされれば、事業者を訴えることなく、1回の手続きで投稿者の開示について裁判所に判断してもらえるため、被害者の負担軽減につながると思います。ネットでの誹謗中傷による悲しい事件をなくすため、こうした動きは大切でしょう》
花さんが自殺した後も、ネット上での誹謗中傷はやむことなく現在も続いている。何はともあれ、今回の訴訟が抑止につながることを願いたいものだ。
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