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死に物狂い!? 大手ゼネコンもコロナ禍で10年ぶり全社減収~企業経済深層レポート

東京オリンピック・パラリンピックに伴う建設ラッシュや大都市の再開発で、右肩上がりを堅持してきたゼネコン各社だったが、2021年3月決算は新型コロナウイルスの直撃を受け、風向きが大きく変わりつつあるようだ。特に、売上高が1社で1兆円を超える鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設の大手ゼネコン4社(スーパーゼネコン)は、10年ぶりに減収に転じる見通しとなった(竹中工務店は非上場)。

20年4月~12月における4社の売上高は、鹿島建設が1兆3889億円(対前年同期比3.4%減)、大林組が1兆2769億円(同14.8%減)、大成建設が9750億円(同17.0%減)、清水建設が1兆3057億円(同16.8%減)と、軒並み減収減益を見込んでいる。

大手ゼネコンの現状を建設業界関係者が解説する。

「東京五輪関連の工事が終了したことで、各社とも20年は成長も一休み、21年決算は横ばいなら御の字とみていた。しかし、新型コロナの影響で、ホテルや商業施設などの民間事業計画が中止、もしくは先送りされ、建設工事部門の落ち込みが大きかったようだ」

その中で、特筆すべき動きを見せたのは大成建設だ。昨年5月、当時の村田誉之社長(現副会長)が「3カ年中期経営計画で業績が未達成の責任を取る」と唐突に辞任し、次期社長に相川善郎専務を抜擢するという仰天人事を断行したのだ。

「村田氏は15年の社長時、二転三転していた新国立競技場の建設工事を受注するなど、業界ナンバーワンを目指して事業規模を拡大させてきた。しかし、結果的には積極経営が裏目に出てしまった」(同)

ゼネコン全体が業績ダウンしていることを考えれば、トップの首のすげ替えは過酷という声もある。

しかし、不透明な時代を乗り切ろうとする強い意志も感じられ、今回の人事は、大成建設がコロナ以降を深刻に見据えている証しとも考えられる。

公共工事の仕事はそこそこあるが…

さて、大手ゼネコン4社における今後の見通しだが、今年前半は各社とも多くの公共事業を抱え、当面は乗り切る体力は十分あるとみられている。

というのは、昨年12月時点の繰越工事高を見ると、大成建設は前年同期比5%増の2兆2116億円、大林組も同1.4%増の1兆6079億円と、2社が前年同期を上回り、マイナスの鹿島建設や清水建設も小幅減にとどめているからだ(東京商工リサーチ調べ)。問題はそれ以降になる。

中堅ゼネコンの関係者が事情を説明する。

「ここ数年、二階(俊博)幹事長が音頭を取る減災・防災、国土強靭化計画で多額の公共工事が発注され、仕事はそこそこある。しかし、さらにプラスアルファの仕事を取らなければ、会社の経営は回っていきません」

資本力のある大手ゼネコン各社は、大都市圏の再開発など大型工事の受注を狙っているが、多額の利益が見込める駅前高層ビルなどの象徴的な工事は、受注競争が激化の一途をたどっているという。

「また、コロナの影響で建設計画の見直しも頻発しているため、取れる仕事はできるだけ取りたい。そのため、今まで力の入らなかった地方の工事でも、熾烈なバトルが展開されるようになった」(同)

例えば昨年8月、香川県多度津町が新庁舎建設工事を一般競争入札にかけた際、人口2万3000人の小さな町の一案件に、スーパーゼネコン4社がそろい踏みして話題を呼んだ。

地元紙記者が明かす。

「スーパーゼネコンのほかにも、戸田建設、飛島建設、フジタなど各社が入り乱れ、激しいバトルの末に大林組が約28億3500万円で落札しました。地元の建設業者らは『コロナで大手も仕事が減り、なりふり構わず取りにきた』と仰天していました」

“日本一のビル”を巡る受注合戦

そして今、最もホットな受注合戦が、日本の要である東京駅で展開されつつある。東京五輪後、スーパーゼネコンが最も注視し、垂涎の的となっている案件だ。東京駅前再開発で23年着工予定、27年の完成を目指す『トーチ(たいまつ)タワー』である。

経済アナリストが語る。

「三菱地所が丸の内エリアに建設する高さ約390メートルの高層ビルで、62階と屋上の63階には富士山を望める展望施設が設けられる。完成すれば大阪市の『あべのハルカス』(高さ300メートル)をしのぎ、日本一のシンボリックビルになる予定です」

トーチタワーには高級ホテルや2000席のホール、商業施設などが入り、総事業費は約5000億円という超大型案件だ。

「この高層ビルの受注を巡り、水面下で大手ゼネコン各社が激しく競り合っている。落札すれば、現代日本を象徴するビル建設の栄誉とともに、巨額の資金獲得にもつながるだけに死にもの狂いです」(同)

しかし、大手ゼネコン各社のサバイバルが激しさを増せば、その余波が準大手や中堅ゼネコン、さらには中小の建設業に波及するのは必至。すでに建設業における新型コロナ関連の破たんは80件を超え、さらに増勢をうかがっている。コロナ禍による地殻変動が続く中、建設業界の力量が問われることになりそうだ。

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