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死ぬまで働け!?『70歳就業法』4月1日施行!深刻を増す高齢者の貧困

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少子高齢化が加速する日本では、昨年に高齢者(65歳以上)の人口が前年比30万人増の3617万人を突破し、過去最多となった。総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は28.7%で、世界201カ国・地域中においても2位のイタリア(23.3%)を上回り、トップに位置している。

総務省によると、2019年の高齢者の就業者数は過去最高の892万人となり、04年以降は16年連続で増加している。こうした中、今年4月から改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)が施行され、希望する社員が70歳まで働けるようにする「努力義務」が、企業に課せられることになる。

昨年、家電量販店の『ノジマ』が、再雇用契約を65歳から最長80歳まで延長する制度を導入した。また、スーパーの『サミット』や外食の『すかいらーくグループ』も、パート、アルバイトの定年を75歳に引き上げている。

「2040年には65歳の高齢化率が35%まで上昇するとみられており、いずれ70歳就業法は義務化されそうです」(大手人材派遣会社)

人手不足の業界にとっては朗報だが、「辞めてもらいたいシニアの雇用が義務化されると、企業側にとっては負担でしかない」(中小企業経営者)といった声もある。

悠々自適のシニアライフはすでに幻想…

法改正を行う背景には年金問題もある。

「日本は高齢化の影響で社会保障費の急増が深刻化しており、財政がひっ迫しています。政府は年金支給を減らし、シニアの就労支援と言いながら税金を払わせるのが狙いです」(永田町関係者)

年金の支給開始は65歳だが、来年4月から受け取り開始時期が選択できるようになる。国からすればシニアの就労で税金を徴収し、年金支給も減らせる一石二鳥の得策でもある。

これに追い打ちをかけるように、22年度以降は75歳以上の後期高齢者の医療費負担が、1割から2割に増える可能性もあり、老後資金の不安は拭いきれない。年金で悠々自適のシニアライフはすでに幻想と化しており、70代でも働かなければ生活苦という時代が訪れつつある。

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