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日本全国☆釣り行脚~『マハゼ』~東京都中央区豊海/朝潮運河産

マハゼ釣り
マハゼ釣り (C)週刊実話Web

「冬のマハゼは夜間に実績場を狙えば確実!」

そう高をくくって出かけた函館釣行は、まさかの大惨敗。マコガレイやヌマガレイといった代役が楽しませてくれたものの、心持ちはなんともスッキリしませんでした。

こういうときは気持ちの切り換えが大事。ということで今回は、前回までとは逆にマコガレイを狙ってみましょう。ハゼと同様にマコガレイも冬場が産卵期であり、この時期にはやはり夜釣りで好釣果が期待できます。

また、普段は見向きもされないようなごく浅い場所で、爆釣なんてことがあるのも産卵期の特徴です。思えば、20年ほど前までは、この夜のカレイ釣りが首都圏の港湾部で盛んに行われていたものですが、最近はそんな話題を聞くことも少なくなりました。

「あらためて釣査せねば!」

そう意気込んで釣り仲間とともにやってきたのは、東京都中央区の豊海エリア。ここ数年、五輪開催決定の影響もあって台場や有明、豊洲といった都心の湾岸エリアは再開発が盛んに行われており、以前は企業敷地であった場所が公園や遊歩道に整備されつつあります。

お洒落な高層マンションとの間を流れる運河の畔には小綺麗な遊歩道が整備され、日中はテレビCMかと思うような垢抜けた家族が散歩を楽しんでいます。

日没後で人通りが少なくなったとはいえ、およそ釣りには似つかわしくない雰囲気を感じつつ、釣友と2人でそそくさと仕掛けをセット。エサを付けて運河に仕掛けを投げ込みます。

狙ってないのに良型が連発!

東京湾最奥部を流れる運河、しかも周りはハイソな高層マンションばかり…。登場人物も行動もすべてが場違いなのですが、意外にも産卵前後のマコガレイはこういった場所で十分に釣れる可能性があります。

実際、この付近の護岸からマコガレイを釣り上げた過去の実績もあり、密かな期待を胸に竿先を眺めます。

「釣れました~♪」

開始早々に同行の釣友から声が上がりました。いくらなんでも早すぎない?

すでに抜き上げられた彼の仕掛けにぶら下がっているのはハゼ。今回は外道扱いですが早々の釣果は羨ましい限りです。

幸先のよい展開に、さらに期待して自分の釣り座に戻ると、ワタクシの竿にも「ブルルンッ!」とアタリが出ております。竿を手にするとかすかな重さに加えて「ククンッ!」と手応えが感じられ、18センチほどのハゼが付いておりました。

ハゼが次々と釣れる!
ハゼが次々と釣れる! (C)週刊実話Web

好む環境が似ていることもあり、冬場の夜ガレイ釣りでは定番外道と言ってもよい存在のハゼ。しかし、あまりに頻繁にアタリがあり、「これじゃあカレイが食いつくヒマがないだろうよ…」とボヤいてしまうほどです。

サイズはいずれも18センチ前後。東北や北海道で釣れる個体ほど大きくはありませんが、江戸前らしく寸詰まりで丸々と肥えた魚体はいかにも旨そうです。

結局、あまりの好釣果にマコガレイのことなどすっかり忘れ、ひとしきり夜ハゼ釣りを堪能。これ以上釣っても食べきれないということで適当なところで納竿となったのでありました。

それにしても北海道でハゼを狙えばカレイ類が釣れ、東京でマコガレイを狙えばハゼが数釣れるという、なんとも皮肉な展開…。まぁ、思いどおりにならないのが釣りというものです。どちらもそれなりに楽しめましたから、結果オーライということで。

揚げたてで晩酌コク旨で幸せ~

江戸前のハゼといえば天ぷらがド定番。昔から江戸っ子に愛された定番の味を贅沢に楽しむことにしましょう。

生かして持ち帰ったハゼをさばいていくと、大きな卵を持った個体もチラホラ交じっておりました。だいだい色の旨そうな卵を見て、「これも一緒に揚げてしまおう」と身とともに揚げて天ぷらの完成。ビールとともに晩酌のスタートです。

江戸前のハゼの天ぷらをビールと共に
江戸前のハゼの天ぷらをビールと共に (C)週刊実話Web

揚げたてのハゼ天はホクホクの食感で、旨味とコクが濃厚で極めて旨い! パラリと塩を振れば、さらにビールが進みます。幸せだぁ~。

北国の大型ハゼのように小骨が当たることもないせいか、箸が止まりません。結局、翌日用に取っておいた分も食べてしまいました。

「あの釣れ具合ならまだイケるな…」

あまりの美味しさに再度の釣行予定を練りつつ、コタツの中で朝を迎えるに至りました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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