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菅首相“火だるま”に…4月25日「国会議員3補選」全敗の悪夢

vasilis asvestas / Shutterstock.com

菅政権が4月25日に予定されている国会議員の3補選(北海道2区。長野、広島は再選挙)で3連敗の悪夢に怯えている。自民党の「政治とカネ」問題とコロナ対策が焦点の補選だからだ。

加えて、菅首相の長男の総務省役人接待疑惑と森喜朗元首相の女性蔑視発言が批判を浴び、政権の屋台骨は大揺れ。3選挙で3連敗すれば、今秋に衆院任期満了を迎える総選挙で悪夢の連鎖を引き起こし、自民党大敗の機運が濃厚となる。場合によっては自公政権倒壊も起こりうる――。

まずは、3選挙の流れを全国紙政治担当記者が解説する。

「2019年参議院選での巨額買収事件を巡り、東京地裁から公職選挙法違反で参院議員の河井案里氏が有罪判決を受け、2月3日に議員辞職した。控訴断念は控訴審でも判決は覆らないと諦めたためといわれている。これで広島選挙区は案里氏の当選無効となった。公職選挙法では、補選でなく再選挙で4月25日に投開票日となる」

参院広島選挙区は複雑だ。広島は19年当時、岸田文雄前政調会長率いる岸田派の国会議員が6人で、同派の牙城といわれた。19年の参院選では過去の得票数から自民党1議席当選がやっととされ、岸田派重鎮の現職・溝手顕正氏が出馬に名乗りを上げていた。だが、アンチ溝手氏の急先鋒だった安倍首相と菅官房長官が案里氏を担ぎ出した結果、案里氏当選、溝手氏が落選するという遺恨を残していた。

3選挙区の最新情勢について自民党幹部が語る。

「北海道2区は自民党の吉川元農水相が議席を守ってきたが、今回は不戦敗を決めた。もともと、北海道は野党が強い選挙区だ。吉川氏が鶏卵疑惑で辞任したため、自民党は野党に勝てないと踏んだ。候補者を擁立しないのは、事実上の敗北に等しい」

長男の接待疑惑と森元首相の蔑視発言

もう1つの補選、長野選挙区は立憲民主党の羽田雄一郎元国交相が新型コロナで急逝したための選挙だ。

「長野は雄一郎元国交相の父親、羽田孜元首相の選挙区だけに、旧民主党時代から立憲が強い。しかも、今回は弔い合戦で、立憲は羽田氏の弟を擁立する。自民党は候補者は立てるものの、勝ち目はない」(同)

そして、複雑な広島選挙についてはこう分析する。

「案里氏の買収違反だから、ここも自民党は厳しい。それでも一縷の望みは、昔から広島は保守票が多いこと。実際、19年の参院選で案里氏と溝手氏の2人合わせれば、56万票を取った。立憲は33万票。1人なら自民党は勝てる計算だ。北海道不戦敗、長野敗北でも広島で勝てば、1勝2敗だとして菅政権も何とか面目は保てるはずだったが、その矢先、思わぬ事態が起きたのは相当痛い」(同)

不測の事態とは、菅首相長男の総務省役人接待疑惑と森元首相の女性蔑視発言に他ならない。

1つ目の総務省役人接待疑惑はこうだ。

『週刊文春』によれば、総務省の谷脇康彦総務審議官、秋本芳徳情報流通行政局長ら総務省幹部4人が昨年10月から暮れにかけて、衛星放送を手がける東北新社に勤務する菅首相の長男らから、国家公務員倫理法に抵触する可能性のある会食接待を受けたという。

「国会で追及を受けた菅首相は『ルールにのっとり対応してほしい』、『長男とは別人格』と強調した。しかし、接待を受けた総務省側は放送事業の許認可を握っている。今後、事の展開次第では贈収賄罪の可能性も出てくる。菅政権を直撃するかもしれない」(全国紙政治担当記者)

もう1つは森元首相の舌禍。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長が「女性が多い理事会は時間がかかる」と発言。海外メディアにも大きく報道され、森会長は釈明会見で発言撤回に追い込まれた。

河井案里氏の“真相暴露”に自民党は戦々恐々!?

「発言撤回後も『会長を辞任すべき』と言う声が多いが、森氏は辞任する気などサラサラない。この問題は尾をひきそうだ。反動は猫に鈴をつけられない菅首相批判につながり、特に女性票は減るでしょう」(政治ジャーナリスト)

選挙アナリストが厳しい予想をする。

「1月7日に緊急事態宣言が出された時点で、補選同時の解散総選挙は消えた。〝4・25〟3連敗後の総選挙は政権陥落の恐れも出てきた。実は昨年暮れ、自民党は極秘で衆院当落を調査した。結果は現状からマイナス40議席前後で、かろうじて単独過半数の233議席を維持できる数だったと聞く。だが、そこに松本純氏ら銀座クラブ3兄弟問題が勃発した上、議員辞職した公明党の遠山清彦氏の銀座クラブ豪遊も発覚し大混乱だ。公明党もかつての集票力はない。600万台がいいところでしょう。政治とカネ問題にさらされている自民党をどこまで支援できるかは未知数。菅首相の長男接待疑惑、森元首相発言も加わり、自民党は下野寸前」

菅政権は2月中旬からの新型コロナワクチン投与で支持率の浮上を目論んでいるが、

「緊急事態宣言解除などのコロナ対策で失敗したら、現279議席から大きく減らし単独過半数にはほど遠いマイナス70議席もある。菅首相はその時点で即退陣だ。そして、もう1つ不発爆弾がある。案里氏は今度の有罪判決で自民党に恨み骨髄。自民党本部から案里陣営に渡った選挙資金1億5000万円を巡り、案里氏が真相を暴露しないとは言い切れない」(前出・全国紙政治担当記者)

いずれにしても、菅政権崩壊は刻々と迫っている。

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