違法デモを扇動した罪などで禁錮10カ月の判決を受けた香港の民主活動家・周庭(アグネス・チョウ)さん(24)が、昨年末に重大事件の囚人が収容される大欖女子懲教所(刑務所)に移送されたと、香港の日刊新聞『蘋果日報』の電子版が伝えた。
「大欖女子懲教所への移送は、周さんには過酷すぎるとの声が上がっています。というのも同所が、殺人や麻薬密売などの重罪を犯した『甲級(第1級)犯』を収容しているからです。15歳から8年間、民主化運動を続けてきた彼女にとって逮捕は3回目でしたが、以前の2回は不起訴であり、今回が初犯ということを考えると〝中国流〟の厳しい判決と言えるのです」(香港人ジャーナリスト)
英国の植民地だった香港は、同国の国王裁判所が蓄積してきた判例を体系化した「コモン・ロー」を基本的理念としている。当然ながら同法は、共産主義の法体系を有する中国とは、考え方が大きく異なる。
「今回の案件を担当した王詩麗裁判官は、もともと民主活動家に対して厳しい判決を下す傾向があります。今後は王詩麗判決を基準に集会の組織、扇動、参加に関わる起訴が無制限に広がっていく可能性が大きい。すでに昨今の香港では、民主派の前議員ら53人が逮捕されるなど緊迫の度合いを増しており、すでに香港の司法は独立性を失い、完全に中国化しつつあるのが現実です」(同・ジャーナリスト)
中国化した司法下で、周さんは過酷な運命にさらされるかもしれない。
「思い出してください。2018年に習近平国家主席の強権政治に反対して、看板に描かれた習主席の顔に墨をかけた女性(30)が、法的根拠を示されないまま当局に監禁されました。この女性は抗精神病薬を過剰に投与され、一昨年11月に解放された際には、全身がむくみ、一時は失語状態に陥るなど、拷問とも言っていい人権蹂躙を受けています」(同)
日本で“芸能活動”する日が来る!?
香港の禁錮刑は休日などの日程が引かれるため、周さんは7~8月頃には出所する予定だ。しかし、現在の香港警察は「民主運動つぶし」に手段を選ばず、出所後も決して安全には暮らせないという。
収監中の現在でも、周さんは北海道大学公共政策大学院のフェロー(研究員)として、2021年度までの任期が残っている。周さんは日本語能力が高く、しかも若くて知的だ。
「周さんの名前は日本でも浸透しているので、外国人タレントの枠を超えてフェロー経験者として活動すれば、インテリのコメンテーターを凌駕する存在になるでしょう。彼女が特別な思いを寄せる日本に、亡命するという選択肢もあるのではないでしょうか」(国際ジャーナリスト)
だが、日本への亡命には大きいな壁が待ち受けている。中国からの「シャープパワー(自国に有利な状態をつくり出していく外交戦略)」だ。日本政府に亡命を認める度胸があるかどうかも疑わしい上、そもそも亡命できたとしても、周さんの活動を支援する団体や人物には、さまざまな政治的圧力が加わる。
「仮に周さんを受け入れた場合、芸能事務所による中国興行や芸能関係者の中国での活動は、ほぼできなくなるでしょう」(同)
〝民主の女神〟周さんの笑顔が再び見られる日は、訪れるのだろうか。
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