「許されんぞ。おまえがやったことは許されない」
判決が言い渡された直後、こう大声を上げながら検察官席に岩倉知広被告(41)が突進。法廷が騒然となる中、被告は4人の刑務官に組み伏せられた。
鹿児島県日置市で5人を殺害したとする岩倉被告の裁判員裁判が、12月11日に鹿児島地裁(岩田光生裁判長)で開かれた。裁判長が求刑通り死刑を言い渡した直後、岩倉被告が突如として怒声を上げ、検察官の後ろに座っていた遺族2人に襲いかかろうとしたのだ。
「2018年3月31日の夜、岩倉被告は実家に住む父親(当時68)と祖母(当時89)を絞殺して、少し離れた山林に2人の遺体を遺棄。その後、様子を見に来た親族ら3人も同じく絞殺しました」(地元紙記者)
警察によれば、最初の事件は祖母が被告に「仕事をしない」などと小言を言ったことをきっかけに、父親を巻き込んだ争いになり、カッとなった被告が手を下したという。
鹿児島県内の裁判員裁判で初めて死刑判決
岩倉被告は1979年生まれ。中学生までは成績優秀でおとなしい性格だったが、高2のときに両親が離婚すると、被告は母親に引き取られて、妹と3人で暮らしていた。高校を中退して職を転々とした後、自衛隊に入隊するが1年足らずで辞め、母親に暴力を振るうようになった。
また、この頃から被害妄想や幻聴、幻覚を発症し、近所の人たちも被告を不気味に思うようになり、町内会や警察に〝恐怖〟を訴えていた。
裁判でも岩倉被告の精神障害が問題視されたが、裁判長は刑事責任能力ありと判断。被告は法廷で大暴れした後、即日控訴した。
鹿児島県内で行われた裁判員裁判において、初めて死刑判決が言い渡された裁判は、異様な雰囲気のまま閉廷した。
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