楽天グループと日本郵政グループは3月12日、資本業務提携を結んだと発表した。楽天は第三者割当増資の実施で2423億円を調達するが、この資本業務提携に菅政権への忖度疑惑が浮上している。
「2423億円のうち1500億円を日本郵政が出資する。日本郵政は株式上場していますが、政府が株式の63%を持つ国有企業で、いわば国の子会社。国民の財産を楽天に資本投下することに、政財界から疑問の声が上がっています」(経済ジャーナリスト)
楽天の三木谷浩史社長は、増資の目的について「モバイルだけではなく、物流やAI(人工知能)にも投資していきたい」と語っているが、増資で調達する金額から手数料を除いたほぼ全額の2400億円が、楽天モバイルの設備に投資されることになる。
「楽天のモバイル事業は2020年第4四半期、725億円の営業損失を計上している。今回の増資で調達する資金も、日本郵政との合同事業ではなく基地局整備に充てられるため、日本郵政を目先の資金繰りに利用したと思われても仕方ありません」(金融アナリスト)
全国2万4000カ所の郵便局が基地局に
日本郵政は総務省の所轄で、増田寛也社長はかつて総務大臣を務めていた。要するに総務省がOKしなければ実現しなかった資本業務提携だったのだ。
また、三木谷社長と菅義偉総理は昵懇の仲と言われている。その菅総理が目玉とする政策の1つが、携帯電話料金の値下げ。楽天は菅総理の政策実現に動いていたが、携帯大手3社が一斉に値下げに転じ、楽天は一気に苦境に立たされた。
「菅総理の長男による〝総務省接待事件〟で明らかになったように、菅総理は総務省に対して絶対的な力を持っている。それだけに楽天への忖度疑惑が浮上しているんです」(政界関係者)
楽天と日本郵政の資本業務提携により、楽天モバイルは全国に約2万4000局ある郵便局を基地局とし、販売店も急増することから、携帯電話料金の大幅値下げが期待できる。しかし、いくつかの疑惑を抱えているだけに、今後の楽天の動きが注目されそうだ。
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