芸能界の性加害が止まらない。2月27日、芸能プロダクション元顧問の57歳男が、所属タレント女性への準強姦と準強制性交の容疑で逮捕された。
容疑者は東京・千代田区の芸能プロ顧問を務めていた2016年と19年、当時10代と20代の女性タレントをホテルに連れ込み、「売れている子たちはみんな経験した」などと言って性的暴行を加えた疑いがかけられている。
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事件は昨年2月、女性が「女優として売れるために数百万円を超える金銭を提供させられ、わいせつな行為を複数回された」と警察に申し出て発覚。容疑者は「売り出すには資金が必要」などと20万円を騙し取った詐欺罪で逮捕され、捜査の過程で準強姦容疑も固まった形だ。
権力関係から性行為を迫り、挙げ句に現金まで騙し取るとは、卑劣と言うほかないだろう。当然、世論からは強い怒りが向けられているが、一方で報道側の対応も批判を浴びている。
というのも、ニュースは各所で報道されたが、芸能プロの実名が明かされていないのだ。
これは近年、芸能プロで起きた性加害事件と異なる対応だとして、《今回は隠すっていうのは公平性に欠きますよ?》《今後のためにもプロダクション名をお願いします。再発防止委員会設置のお願いも必要》《現在進行形で逮捕者まで出ているのに、忖度して事務所の名前も出さないのですか?》など、物議を醸している。
「性加害は組織ぐるみの可能性もあるため、逮捕された男だけの犯行とは限らない。テレビ局は同社のタレントを使っている利害関係者の可能性もあり、再発防止に向けた対応が求められるため、事務所名の公表は必須であるはず。事務所によって対応を変えるのはまさに忖度ではないか」(スポーツ紙記者)
他事務所の例と比べてもあまりに公平性に欠ける報道
ジャニーズ問題に象徴されるように、性加害事件に関しては事務所の力など関係ない。過去には、業界大手の芸能プロ・ワタナベエンターテインメントも、タレントへの性加害で実名を出されたことがある。
同社は2020年、当時の常務取締役・大澤剛氏が、自身がプロデュースする男性アイドルへ約1年間にわたって性加害を行っていたことが『週刊文春』で発覚。男性は大澤氏の別宅に招かれ、プロデューサーとタレントの権力関係に逆らえず、性的関係を持ったと告発した。
記事にはLINEのスクリーンショットも掲載され、大澤氏が男性を目隠しにして裸を撮影し、別れた後、本人に送りつけるリベンジポルノに及んだことも発覚。当初、告発は匿名だったが、後に男性アイドルグループ『MAG!C☆PRINCE』元メンバーの西岡健吾が、ツイッターで自ら正体を明かした。
西岡は「脱退後1年間SNS禁止」「所属時のアカウントを事務所に削除された」といった不当な扱いも告発し、文春の記事を引用して《芸能事務所退所後、不当な契約書や 圧力によって活動しずらくなる、できなくなるタレントがこれ以上出て欲しくないし、そんな汚い芸能事務所を変えたい》と発信。その他にも複数にわたって、暴露ツイートを投じている。
ジャニーズやワタナベエンタと異なり、事務所名を伏せた今回は、ダブルスタンダードに他ならないだろう。ジャニーズ問題では検証番組などであれだけ大騒ぎしたテレビ局も、今回のケースは再発防止に繋げる気概すら感じられない。
「ニュースはスポーツ紙や各テレビ局、時事通信などで幅広く報じられているが、とある民放テレビ局は、逮捕を伝える記事をWEB上から削除している。この対応からも、芸能プロがメディアに強い影響力を持っている様子がうかがえます」(社会事件ジャーナリスト)
前例に倣うなら、痛ましい事件を起こした事務所は、名前を変えて被害者への補償に専念するべきだろう。被害者は一生の心の傷を負っている。
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