角界の悩みは深刻だ。相撲部屋と言えば、力士たちが寝起きし、稽古に励む生活の拠点。夢や汗や涙が詰まっている力士の聖地と言ってもいい。
その相撲部屋に異変が起こっている。消滅したり、移転したりする部屋が相次いでいるのだ。
まず、3月いっぱいで東関部屋が閉鎖になった。先代東関(元幕内・潮丸)が一昨年12月に急逝し、1年間の期限付きで部屋を継承した東関親方(元小結・高見盛)が、「もう、これ以上は激務に耐えられない」とギブアップしたためで、部屋は閉じられ、残された弟子たちは同じ一門の八角部屋に移籍した。
さらに、同じ3月いっぱいで、峰崎部屋も消滅した。こちらは師匠の峰崎親方(元幕内・三杉磯)の定年によるもので、所属力士たちは芝田山部屋に吸収された。
「かつては、親方に何かあると、じゃあオレが代わってやる、と手を挙げる親方や力士が必ず現れたものです。ところが最近は、そんなやる気に溢れた人物がなかなか出てきません。東関部屋も峰崎部屋も、それぞれの一門をあげて後継者探しに奔走しましたが、結局、空振りに終わり閉鎖が決まりました」(担当記者)
なぜ後継者が見つからないのか。相撲部屋経営が儲からないことに加えて、親方たちが小粒化、サラリーマン化してしまったためだ。
地域との結び付きが強いハズの相撲部屋が…
最近は新弟子難で、弟子を集めるのもひと苦労する。そんな思いをしなくても、相撲協会の仕事さえこなしていれば一番下の平年寄でも80万円近い給料をもらえる。高給取りだ。
「昔は、大相撲界は夢を追いかける社会だった。ところが最近は、定年が65歳で70歳まで再雇用してくれる。無理して生きることはないという親方が増えた。悲しいねえ」
そう嘆く協会関係者は多い。おかげで、一時は50近くもあった相撲部屋は42にまで減少。このじり貧傾向はまだまだ続きそうだ。
また、最近は安直に住み替える部屋も目立ってきた。常盤山部屋や九重部屋などは新規だが、これまで郊外にいた二子山部屋は旧東関部屋に、立浪部屋も旧常盤山部屋に間もなく引っ越す。
「相撲部屋はその土地の看板。結び付きは強いはずなんだけど、最近は目先の便利さにつられてすぐに移転する。これでは大相撲界ならではの味が失われる」(部屋関係者)
大相撲界気質も変革のときを迎えている。
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