岩手県にプロ野球「新球団」誕生!? 大谷翔平や佐々木朗希を育てた“怪物伝説”の聖地
大谷翔平、菊地雄星、佐々木朗希。この3人の出身地である岩手県が、野球界で特に注目を集めている。3人に続けとばかり、今年はさらに岩手から新たなスター候補生も誕生。その動きに便乗するかのように、静岡市に続く「二軍専門球団」は誕生するのか?
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大谷翔平(MLBエンゼルス)、菊池雄星(同ブルージェイズ)、佐々木朗希(ロッテマリーンズ)を輩出した「怪物伝説」の聖地・岩手県に、プロ野球新球団設立の動きが浮上した。現在公募中の「NPB二軍限定球団」にサプライズ参戦。球界に衝撃が――。
日本野球機構(NPB)は今年5月、2024年シーズンから二軍戦のみに参加できる球団の公募を始めたが(25年シーズンからの参加希望は7月から)、参加を希望する企業からの問い合わせが殺到している。
ともに1球団ずつの予定で、真っ先に手を挙げた静岡市を本拠地とするハヤテインベストメント社をはじめ、新潟アルビレックスBC、栃木ゴールデンブレーブス、火の国サラマンダーズ(熊本)、沖縄、愛媛の独立リーグの運営会社など、2桁の団体が興味を示しているという。
「将来的には16球団へのエクスパンション(拡大)が予想されていて、今回落ちてもチャンスはあります。しかし、思わぬダークホースが現れ、競争は激しさを増しています」(大手広告代理店幹部)
ダークホースとは、大谷翔平、菊池雄星、佐々木朗希など〝怪物選手〟を次々に輩出している岩手県だ。
盛岡市では、今年4月に岩手県営球場(収容人数2万5000人)を残したまま新球場「きたぎんボールパーク」(いわて盛岡ボールパーク、同2万人)が完成。5月16日にプロ野球初公式戦(楽天対ソフトバンク戦)を開催し、1万6070人の満員御礼となった。
育成目的の二軍練習場なら…
県営球場は経年劣化と公認野球規則に基づく両翼のサイズが基準値よりも狭いことなどから3月末に閉場し、5年以内に用途廃止の方針だが、正式には決まっていない。県議会では、民間の球場として使いたいという要望があれば「排除しない見解」を示している。そこで浮上したのが、プロ野球「ファームリーグ」への参加だ。
「岩手県では、花巻東高時代に甲子園で158キロを記録した菊池に始まり、怪物伝説は同校時代に160㌔をマークした大谷、さらに大船渡高からロッテに進み昨季28年ぶりに完全試合を達成した佐々木に受け継がれました。菊池は盛岡市、大谷は奥州市、佐々木は陸前高田市の出身で、いずれも岩手県内。『IWATE』はメジャーでも怪物選手を生み出す聖地で知られ、そのブランド力を生かして地域活性を図ろうとしているのです」(県政担当記者)
問題は、運営の核となる企業だ。そこで、地元でささやかれているのが、世界的大企業「トヨタ」グループ。実は大谷の兄・龍太さんは、岩手県金ケ崎町のトヨタ自動車東日本で野手コーチを務めている。
「トヨタは社会人野球に注力し、プロ野球、MLBには無関心な立場を取ってきました。しかし、グループの本丸・愛知県豊田市に名門『トヨタ自動車』があり、東日本がファームリーグにシフトしても、企業ポリシーは維持できます。プロ野球の一軍参加には25億円の預かり補償金を含む30億円の加盟料が必要ですが、今回は数千万円に減額され、しかも5シーズン後に返金されるという。これなら、トヨタ自動車東日本と地元企業で十分まかなえるはずです」(同)
岩手県の人口は約118万人、盛岡市にしても28万人余り。一軍の本拠地としては集客的に十分でないが、育成が目的の二軍なら問題ない。球場と室内練習場はすでにあり、参加条件の35人程度の戦力も整っている。
アメリカに直行する可能性も…
先日のWBCでは、メジャーリーガーの大谷、ダルビッシュ有(パドレス)、吉田正尚(レッドソックス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)が大活躍。山本由伸(オリックス)、今永昇太(DeNA)、松井裕樹(楽天)は今オフに、佐々木のほか戸郷翔征、大勢(ともに巨人)もいずれメジャーに転身するであろうことから直接、メジャー行きを模索する高校球児が増えている事情もある。「プロ野球に入団して海外FA権獲得(一軍累計9年)を待つより、たとえマイナーでもアメリカに直行してメジャーを目指した方が結果的によっぽど稼げる」
そう考える高校球児の受け皿として、東西の「ファームリーグ」が見直されているのだ。
「この流れを加速させたのが、花巻東高の大谷、菊池の後輩・佐々木麟太郎内野手(3年)。今月9日の高校野球春季岩手大会の地区予選で高校生歴代最多の129号本塁打を放ち、怪物出現を日米にアピールしている」(スポーツ紙デスク)
当然、今ドラフトで日本球団の1位指名が予想されるが、MLB球団もマーク中。この試合でもラスベガスへの本拠地移転を決めたアスレチックスのスカウト2人が熱い視線を送った。
「現に菊池はドラフト前にメジャー8球団と面談したし、大谷にしても一度は記者会見してメジャー挑戦を表明した。岩手県人は寡黙ながらもチャレンジ精神が旺盛。今度こそ『メジャーに挑戦します』と言い出すのではないかと周囲はヒヤヒヤしている」(同)
佐々木(麟)がアメリカに直行して成功すれば、高校球界に波及するのは必至。将来のメジャーリーガーを目指す好素材がプロ野球、大学、社会人に進まず、ファームリーグで2〜3年程度経験を積み、体力を付けてMLBへ…。このルートが拓かれれば、プロ野球界には大きな痛手となる。
新たに参加するファーム限定球団から、メジャー入団は認めないとする見解もあるが、新規球団はNPBドラフトで選手の指名権を除外されており、解釈は灰色。代理人事情に詳しい弁護士によると、生活、職業選択の自由の権利があり、マイナーからのスタートなら排除できないという。
24年から新規参入を目指す企業・団体は今年11月30日、25年からは24年9月30日を期限に選定し、オーナー会議の承認を経て決定する。岩手は25年参入を目指すが、本拠地スタジアムを「大谷翔平メモリアル球場」に改称するという構想もあり、難関を突破する可能性は十分にある。
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