白血病からの復活を遂げた競泳の池江璃花子が、400メートルリレーと400メートルメドレーリレーの2種目で東京五輪出場の切符を手にした。これで新型コロナの第4波が到来する中、五輪開催に消極的なムードは一変するかもしれない。
ノンフィクション作家の織田淳太郎氏が言う。
「国や東京都が東京五輪開催で、これまでの経済的痛手を取り返そうと考えているのは間違いありません。ただ、アスリートにとって白血病の克服は勝ち負けに関係がない上、池江にしても特別な目で見られるのは非常に嫌でしょうね」
2月、大会組織委員会の森喜朗前会長に代わって選出された橋本聖子新会長は、就任あいさつで「アスリートファーストの視点を忘れることなく、ミッションを果たしていきたい」と語った。
「首都圏の感染状況は悪化する一方。関西圏の増加ペースから推計すると、首都圏でも5月初旬には新規感染者の約7割が、変異株に感染している状況になりそうです」(医療関係者)
「五輪はもはやアマの祭典ではない」
国立感染症研究所が、2月1日から3月22日までの国内変異株への感染例を分析したところ、感染者1人が何人にうつすかを示す「実効再生産数」は、英国株が従来株と比べて平均で1.32倍も高かった。
「菅義偉首相は『コロナを克服した証しとして五輪を開く』と言っているが、とても開催できる状況ではありません。その上、五輪はプロ化が進み、もはやアマの祭典ではない。東京五輪は盛り上がりに欠け、記録的にも最低になるのは間違いない。ここは見送るべきです」(前出・織田氏)
とはいえ、菅首相も小池百合子都知事も、中止に踏み切る様子は微塵もない。
「池江の出場で大会の目玉ができた。ただ、東京都の感染者が再び1日に2000人を超え、死者数も増えると、そうは言っていられなくなる。菅首相は今秋までに、総選挙と自民党総裁選を控える身。総選挙で惨敗という構図が見えてくると中止するかもしれない」(スポーツ紙記者)
〝客寄せパンダ〟として政治利用される池江こそ、いい迷惑だ。
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