「荒れる春場所」のキャッチコピー通り、終盤に混戦状態となった春場所は、関脇・照ノ富士が激しいつぶし合いを制して4場所ぶり3回目の優勝を遂げ、大関復帰も決めた。
しかし、11日目には寂しいニュースもあった。5場所連続して休場中だった横綱・鶴竜が、ついに引退を表明したのだ。
横綱在位41場所中、半分に近い19場所も休場し、昨年11月には横綱審議委員会から、引退勧告に次ぐ「注意」の決議を突き付けられていた鶴竜。やむを得ない決断ではあった。
引退会見で鶴竜は、次のように語っている。
「(これまで)常に頭の中で相撲のことを考えてやってきた。それが今なくなって、解放されて、うれしいというかホッとしている」
おそらく正直な気持ちに違いない。晩年は怪我との闘いで、相撲を取るどころではなかったのだから…。
悲願の井筒部屋継承には妻子がネック!?
今後は陸奥部屋付きの鶴竜親方として後進の指導に当たるが、気になるのは今後の処遇だ。一昨年9月、相撲経験のなかった鶴竜を横綱にまで育ててくれた先代「井筒」(元関脇逆鉾)が急逝。鶴竜は陸奥部屋に移籍を余儀なくされたが、先代井筒が亡くなる直前に「井筒を襲名し、部屋を守ってくれ」と言い残したというのだ。
現在、同じ一門の元関脇豊ノ島が、先代未亡人から井筒を寸借しているが、どうして鶴竜は井筒を襲名できず、横綱経験者の特権で5年間だけ許される現役名を名乗らざるを得なかったのか。
元井筒部屋の関係者が次のように明かす。
「先代井筒には、元タカラジェンヌで30代前半の娘がいます。この娘と結婚して井筒部屋を再興してほしいというのが、先代未亡人の願いなんです。となると、すでに結婚して子供もいる鶴竜は候補外。現在、一門内を中心に〝婿探し〟が進められていて、小結の大栄翔や大関の正代らの名前が挙がっています。鶴竜が大相撲界に残留したいのなら、自分で他の株を手に入れるしかありません」
鶴竜は引退するのも一苦労だったが、親方になっても一苦労だ。
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