3月19日に始まるセンバツ甲子園だが、今大会より入場料が値上げされる。コロナ対策を徹底するためで、「甲子園や地方大会の収入の大部分は入場料。地方高野連の救済措置」とまで言われたら、受け入れるしかない。だが、高校球児への影響はそれだけにとどまらず、「私立校優勢」の図式が見えてきた――。
「緊急事態宣言がまだ解除されていない10都府県では、学校部活動にも制限が加えられています。センバツ代表校に選ばれた高校も十分な練習時間が確保できず、3密を避けるため、グループごとの練習を強いられている高校もあります。全員を集合させることができず、困っている状況です」(学生野球担当記者)
困っているのは、センバツに出場する32校だけではない。選抜に漏れた高校は、都道府県の高野連が主催する春季大会に向けた練習もできずにいるのだ。
「公立校は部活動の休止、練習時間の短縮通達に従っています。校内に選手寮のある私立校では、球児を実家に帰したケースも」(同)
そんな中、練習自粛を免れた私立校がある。たとえば、球児たちの寮が学校の敷地外にあれば、彼らを帰省させる必要はないからだ。
「自粛せず不公平だ」の抗議電話も…
「室内練習場がある私立校は、グラウンド組と室内組に分けて練習を行うなど、時間短縮はあっても通常と変わらない練習メニューが続けられています。感染者数の少ない地方の私立校は、それほど影響がありません。こっそり練習している都市部の私立校もあるようです」(関係者)
関東圏のある県高野連には、「あの高校は自粛していない。不公平だ」など、複数の抗議電話も寄せられているそうだ。さらに、「ルール」も私立校優勢を後押しする。
たとえば、センバツの東北地区2校では、2校目の柴田(宮城・公立)を選ぶかどうかでモメた。柴田は、前年の秋季東北大会で準優勝。優勝した仙台育英はすぐに決まったが、決勝戦で大差で敗れた柴田ではなく、準決勝で消えた日大山形や花巻東の両私立校を推す意見も多かったのだ。
「柴田は、『1週間500球』という投球数制限により、エースが決勝戦で即降板しました。二番手の投手は、大会初登板。この実態を加味すべき」との報告を受け、ようやく決まったのだ。
公立校はただでさえ選手層が薄い。その上、練習でも差が出てしまっては…。
今年の高校野球は例年以上に「私立優勢」となる。
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