年末年始、関西圏のテレビ各局で、多くの「阪神特集」が組まれた。これは毎年の恒例行事だが、その中で、矢野燿大監督の表情はちょっと引きつっていたことが波紋を広げている。
「昨秋のドラフト会議で、阪神は大学ナンバーワンスラッガーの佐藤輝明(近大)を引き当てました。オフの外国人補強もうまくいき、各番組で共演したタレントたちは『優勝』と騒ぎ立てていました」(在阪記者)
球団レジェンドの掛布雅之氏も、スポーツ番組に登場。そこで、こう締めていた。
「優勝のキーマン? 矢野監督です」
しかし、矢野監督へのプレッシャーはハンパではない。「佐藤を使え!」のコールが鳴りやまないのだ。
「一軍スタートでキャンプインするのは確実」(同・記者)
明言こそしていないが、矢野監督は佐藤を「外野手」でスタートさせる構想だという。将来、チームを背負って立つ〝金の卵〟には間違いないが、まだプロで1打席も立っていない。「三塁・大山悠輔、右翼・佐藤」の布陣をイメージするファンも多かったが、慎重な姿勢を崩さないようだ。
「昨季、28本塁打を放った大山のメンツに配慮したのでしょう。でも、外野では佐藤の出番が少なくなりそうです」(球界関係者)
試合に使い続ければファンは納得!?
矢野監督は、昨季19本塁打を放ったJ・サンズの「一塁コンバート」も明言している。さらに2年連続盗塁王の近本光司は1番センターで固定され、新加入のM・ロハスJr.もレフトでのスタメンが予想される。
そうなると、外野で空いているのはライトだけ。佐藤はこのポジションを、巻き返しを誓う18年目のベテランの糸井嘉男、16年の新人王の髙山俊、成長著しい2年目の井上広大らと争うことになる。
「当然、糸井、髙山にも意地があるでしょう」(前出の在阪記者)
となると、佐藤を実戦の中で育ててほしいというファンの期待を、矢野監督は裏切ることになるのだろうか…。
「それは営業サイドが許さないでしょう。佐藤は巨人、ソフトバンクと争って獲得した逸材です。今の打撃フォームでは一軍レベルでは通用しないとの指摘もありますが、たとえ打てなくても、試合に出続ければファンは納得するはずですから」(同・記者)
競争の激しい外野に回したのは、プロレベルに到達していない佐藤を守るための〝親心〟か?
しかし、実戦の中で育てるとなれば、優勝は遠のいてしまう。〝Vのキーマン〟矢野監督は、佐藤育成と優勝のどっちを取るか?
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