「こんなことを続けていては、巨人は何年やってもソフトバンクに勝てない。唯一の解決策は、敵将の工藤監督を迎えること。彼はれっきとした巨人OB。資格は十二分にある」(巨人OBの野球解説者)
日本プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる「正力松太郎賞」(読売グループが賞金500万円)にソフトバンクホークスの工藤公康監督が史上最多の5度目の受賞をし、読売新聞グループ内で「次期監督擁立論」が浮上している。選考委員長を務める王貞治ソフトバンク球団会長が工藤監督の手腕を高く評価し、「次期巨人監督」に推奨したという。
巨人で工藤監督擁立の後ろ盾となっているのが、西武監督時代に工藤を育てた野球評論家の広岡達朗氏だ。
「選手は取ってくるのではなく、育てるもの。いい選手を取ってくるという発想では一生勝てない」というのが、広岡氏の持論。「このままでは来季も結果は同じ」と、スポーツ紙の取材に原巨人を一刀両断。つまり、今オフも懲りずにFA宣言したDeNAの梶谷隆幸外野手を4年8億円、井納翔一投手を2年2億円(推定)で獲得するという安易な強化策を「愚の骨頂」と切って捨てたのだ。
対照的なのが、選手を安価で仕入れ、自前でプレミア商品に育てるソフトバンクのスタイル。05年の育成ドラフト開始以来、78人を育成選手として契約しており、今年の日本シリーズにも今季11勝を挙げて最多勝に輝いた千賀滉大投手や石川柊太投手、〝甲斐キャノン〟甲斐拓也捕手、盗塁王の周東佑京内野手など、多彩なメンバーが出場した。
後釜の阿部慎之助二軍監督昇格に「待った」!?
「一芸に秀でた原石を指名し、徹底的に鍛えてきた成果。育成選手の年俸は約250万円。80人でも2億円で済み、その中に1人でも1億円プレーヤーを輩出できれば儲けものという考え。巨人も今年の育成ドラフトで12人を指名したが、FA選手に頼っている限り、育てても使えないし、育たない。見習うべきところは多い」(巨人OBの野球解説者)
巨人は来季で契約最終年を迎える原辰徳監督の後釜に、阿部慎之助二軍監督を昇格させる方針だった。
「その前に工藤監督を挟み、彼が持つ選手強化策を取り込む方針に転じた」(同)
工藤監督とソフトバンクとの契約は、原監督同様に来季まで。以降は新ヘッドコーチの小久保裕紀氏にスイッチするといわれている。
「それにともない、巨人OBでもある工藤監督を送り出す。その環境整備が、今年の正力松太郎賞受賞の狙い」(スポーツ紙デスク)
巨人軍の生みの親、正力氏の正当な強化策を伝承した西武広岡学校からは工藤監督のほか、東尾修、森繁和、渡辺久信、伊東勤、秋山幸二、辻発彦氏らが監督として育ち、現在のパ・リーグの隆盛を築いた。「逆輸入」で盟主復活に挑む。
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