名古屋市のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で行われている大相撲夏場所も、いよいよ終盤戦に突入。力士たちは追い込みに必死だが、中でもひときわ注目を集めているのが、6場所連続で休場していた横綱・白鵬の闘いぶりだ。
もし、今場所も横綱らしからぬ成績に終わったら即引退。白鵬には言い訳無用の最後通牒が突き付けられていたが、場所前の下馬評はかなり悲観的だった。
「精いっぱいやってダメだったら、という感じを持っていると思います。本人が一番分かっていること」
師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)ですら、こんな不安にあふれたコメントを残しており、ネット上にも「何日目までもつか」と、引退予想日を当てる冷ややかな投稿もあった。
しかし、初日に新小結の明生を掛け投げで破って白星発進すると、日を追って全盛期の強さ、うまさを発揮。10日目の結びの一番では隠岐の海を余裕で退け、これで10連勝。幕内で初日から10連勝以上は自身39度目となった。
NHK解説者の北の富士勝昭氏も舌を巻く強さ
この目を見張るような復活の秘密は、いったいどこにあるのか。
「ひと言で言えば、世間や相撲協会に対する怒り、反発でしょう。これまでの貢献度を考えたら、たとえ1年休んでも、とやかく言われる筋合いはない。にもかかわらず、まるで給料泥棒みたいな扱われ方をされ、揚げ句の果てには、楽しみにしていた一代年寄までフイにされてしまいましたからね。おそらく、腹の中は煮えくり返っていたはずですよ」(担当記者)
そう言えば場所前の白鵬は、師匠を通じて調整ぶりを垣間見せたものの、自ら取材に応じてコメントすることはなかった。もしかすると、爆発寸前だった不満を悟られることを避けたのかもしれない。
白鵬の怒り、恐るべし。NHK解説者の北の富士勝昭氏も、スポーツ紙のコラムで「15年も横綱を張っているのに、まだ優勝しようとしているのだから、恐れ入る」と舌を巻いている。
奇跡のV、大いに期待できそうだ。
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