去る7月2日、日本陸上連盟が東京五輪の新たな内定者を発表したが、日本人で初めて〝10秒の壁〟を突破した短距離ランナーの桐生祥秀が、五輪の晴れ舞台に上がれない可能性が出てきた。
桐生は6月の代表選考を兼ねた日本選手権で、100メートル5位に終わった。そのため個人種目での代表入りは消滅し、400メートルリレーにエントリーされているが…。
「実は400メートルリレーの本番直前まで、誰が走るかで揉めるかもしれないんです。日本選手権の100メートルで4位に入り、200メートルで優勝した小池祐貴は、ともに参加標準記録を突破して出場する権利を有したが、100メートルに専念することになりました」(スポーツ協会担当記者)
そもそも陸連は先の日本選手権で、各種目の代表選手は〝一発勝負〟で決めるとしていた。しかし、世界陸連が設定する参加標準記録を持っていなかった選手も健闘し、日本陸連が一部選手を選考しなければならなかった。
日本選手権で100メートル、200メートルともに2位だったデーデー・ブルーノが、両種目とも代表になれなかったのはそのためだ。
陸連の内規に不満を持つ選手も多い
400メートルリレーで揉めると予想される理由も、その選考方法にある。同リレーには100メートルで代表3枠を射止めた多田修平、山縣亮太、小池に加え、桐生とブルーノがエントリーされ、他1名が補欠となっている。
「陸連が100メートルや200メートルなどの競技で、重複出場を認めない内規をつくったために、それに不満を持つ選手も多いのです」(同)
重複NGの理由は、メダル獲得の可能性が高いリレーまで体力を温存させるためだ。
「リレーは5名の正規メンバーを入れ替えながら決勝戦まで戦っていく予定で、100メートル代表の3名が軸。時の勢いはデーデーにあるので、桐生は出られないかもしれません」(五輪関係者)
陸上界をけん引してきた桐生が、出場はリレーだけとは寂しい。それも他選手の体調次第とは…。陸上選手の旬は100メートルのタイム同様、一瞬のようだ。
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