正月の風物詩である『箱根駅伝』がピンチに陥っている。新型コロナウイルス感染防止の観点から「本当に開催できるの?」との声がやまないのだ。
「夏合宿を中止した学校もあります。暑い時期の厳しい走り込みが好タイムを生んできたのですが…」(スポーツ協会担当記者)
レベルダウンも懸念される来年1月の第97回大会だが、ここに来てウイルス以外の〝外敵〟も出現した。
11月14日、京都府京丹後市で『関西学生対校駅伝』が開催される。今年で82回を迎える歴史ある大会だが、地元自治体が今まで以上に力を入れ、「東の箱根、西の丹後と並び称されるように」と〝打倒箱根〟を宣言したのだ。
ライバルの出現は、箱根駅伝にとっては大打撃。というのも、近年のテレビ中継を見て分かる通り、出場選手は地方からの上京組が多く、故郷対抗の雰囲気も濃くなっていたからだ。
『箱根駅伝』の“全国化”構想が揺らぐのは新型コロナウイルスではない!?
「長距離の学生アスリートは、野球少年が甲子園に憧れるのと同じで、箱根駅伝に憧れを抱きます。ランナーは『箱根に出たい』の一心で上京し、東京に好選手が集まることで、レベルアップにもつながっていました」(大学指導者)
関西学生対校駅伝が箱根駅伝のような注目度の高い大会に発展すれば、学生ランナーの東京流出にも歯止めをかけられる。
「箱根駅伝の影響で、全国の有望選手は東京圏に集中していました。他エリアとのレベルの差が埋まるのは、決して悪いことではない。対抗意識が強まれば、記録における地方格差も縮まるでしょう」(同)
箱根駅伝には多くの有名企業が協賛しているが、関西学生対校駅伝は地道なクラウドファンディングで、日本中に寄付を呼び掛けていくという。
「箱根駅伝は100回のメモリアル大会(2024年1月)で、出場校を全国に広げるプランがあります。その構想が根本から揺らぐかもしれません」(前出の協会担当記者)
果たして関西学生対校駅伝は、箱根駅伝の牙城を崩せるだろうか。
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