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『ANGEL』 売れ過ぎて有害図書規制の槍玉に…哀しき“封印漫画”の世界

『ANGEL』1988-1995 遊人/小学館

1990年代の「有害」コミック規制の象徴的作品。当時は初版60万部ともいわれた。この作品が話題を集めたのは、当時、最も売れていた「有害」コミックだったことも原因だが、やはり小学館という大手出版社の『週刊ヤングサンデー』に掲載されていたことが大きい。これ以上に分かりやすいサンプルは他にない。

「有害」コミックに指定された『ANGEL』は連載を中断、単行本は絶版・出荷停止に。この騒動を受け『週刊ヤングサンデー』は誌面で「有害コミックってナンだよ~!? いま沸きあがる『ANGEL』問題を考える!!」と題した特集ページを3週連続で掲載したほどだった。

“違和感”アリアリの「有害」コミック規制

賛否(どちらかといえば「否」)両論を掲載しつつ、「有害」コミック規制に異を唱えた同特集。遊人氏自身もマンガで再開宣言をぶったものの、あまりにもギャグ風味でいまひとつ真意を測りかねるものだった。

強いて言えば、ベッドの下に隠してあったエロ本が見つかった感覚と変わりがない。どちらの言い分も分かるし、どちらも間違っていないのだろう。その行為を正当化することに一抹の後ろめたさがあるのも事実である。

ただし、そこに何らかの規制を設けることに違和感を覚える。その違和感を残したまま、「有害」コミック規制はさらに昂進していくことになるのだった。

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