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『「全裸監督」の修羅場学』著者:村西とおる〜話題の1冊☆著者インタビュー

『「全裸監督」の修羅場学』著者:村西とおる
『「全裸監督」の修羅場学』著者:村西とおる/徳間書店

『「全裸監督」の修羅場学』徳間書店/1760円

村西とおる(むらにし・とおる)
1948年生まれ、福島県出身。上京後、バーテン、英会話セットのセールスマン、テレビゲームリース業を経て「裏本の帝王」に。その後AV監督となって今日に至る。前科7犯(うち米国で1犯)。これまで3000本のAVを制作し、7000人の女性のヒザとヒザの間の奥を視姦してきた。

――現在、『全裸監督』シリーズが大ヒットしています。改めてご自身の映像化された生き様を見て、どう思いますか?

村西 世界190カ国に配信され、今や天皇陛下に次ぐ、世界で知られた日本人となりました。巷ではそのうち渋沢栄一翁に続いて、手前どもの2万円札が発行されるのでは、とのウワサもございます。手前どもの奥方は「今度はニセ札で懲役に行くつもりなの?」と、怒気を含んだ声で警戒を募らせております。お陰で安息の地である我が家が針のムシロとなっている、今日この頃でございます。

――本当に波瀾万丈の人生ですね。今まで生きてきた中で、一番「ヤバイ!」と思ったのはどんなときでしたか?

村西 何と言っても米国でFBIに逮捕され、連邦大法廷で懲役370年を求刑されたときでした。「370年」とは、四度死んでも再び故国の地を踏むことのできない勘定になります。あのときほど、死刑囚の皆さまを羨ましく思ったことはありませんでした。

本心は脆弱で臆病者でございます

――数々の逆境を乗り越えてきた村西監督ですが、その〝不屈の精神〟はどこからくるのでしょうか?

村西 今では「逆境に強い男」との評判を得ている私ですが、誠にもって恐縮いたしております。何も他人様と比べて不屈の精神など持ち合わせていないのです。本心は「脆弱で臆病者」でございますが、申し上げることができるとすれば、ただ一つ、戦後の焼け野原で食うや食わずの幼少期に、米兵が投げてよこしたミカンの皮が、「今に見ていろ」の根性を植え付けたような気がします。

――最近は女性とのコミュニケーションが苦手な男性が増えています。村西流の女性に対する接し方の秘訣を教えて下さい。

村西 女性にとって褒め言葉は〝水〟であり〝空気〟であり、欠くことのできない〝栄養素〟です。どんな女性にも優れた美点があります。それを探し出し、まなで上げる感性を磨けば、向かうところ敵ナシのモテ期がやってくるでしょう。男たるもの、女性を決してケナしてはいけません。「こんなの初めて」ではなく「72回目」と言われたときの衝撃を考えれば、口から吐くべき言葉は「褒めること」以外にないことを知ることができるはずです。

――最後に村西監督の人生哲学をお願いします。

村西 そうしたおこがましい考えは何もありませんが、ただ一つ申し上げられることは「すべての経験は最も善き財産になる」でございます。嘆くな悲しむな、宝物が増えているぞ、でございます。

(聞き手/程原ケン)

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