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『マイ・ダディ』/9月23日(木)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ

Ⓒ2021「マイ・ダディ」製作委員会

『マイ・ダディ』
監督/金井純一
脚本/及川真実、金井純一
出演/ムロツヨシ、中田乃愛、奈緒、毎熊克哉、臼田あさ美、徳井健太、永野宗典、光石研
配給/イオンエンターテイメント

お仕事お疲れ様です! 今回、とても優しい映画に出会いました。作品の売り文句の1つが〝ムロツヨシ初主演!〟ですが、正直言ってソコじゃない。以前、『私の中のあなた』で〝キャメロン・ディアスがスッピンで出演!〟と大々的にアピールした時と同じくらい、作品の〝売り〟はソコじゃないと思いました。

映画の中での彼は、どの立場にいてもしっかりとその役を生き、爪痕を残すオーラと演技力のある役者。私が出演する『王様のブランチ』(TBS系)で、ムロさんが役者として羽ばたくきっかけになった『サマータイムマシン・ブルース』(05年公開)をピックアップしましたが、本当にあの頃から全力です。まだ見てない方がいたらDVDや配信でぜひ! ずっと記憶に残る名作ですよ。

今回の『マイ・ダディ』、ムロさん演じる一男は小さな教会の牧師ですが、それだけでは食べて行けず、ガソリンスタンドで働きながら中学生の娘を1人で育てる父親。でも、その最愛の娘が白血病で倒れます。2つの仕事をしながらティーンエイジャーを育てるなんて、これは悩みも多くありそう。だけど、一男の優しい気持ちで強くもなり、弱くなった時も、人を支えようとする思いで少しずつ困難を解決していくのです。

登場する人物がみんな魅力的

一方、別の場所には、あるミュージシャンに惚れて一生懸命、応援する江津子(奈緒)がいます。ある日、恋人の浮気を目撃してしまい修羅場。家を飛び出すも行くところもなく、教会の中で休む。そこで、一男と江津子が出会う。そこからの描き方が綺麗で、〝もうクリスマスなの!?〟と錯覚してしまうほど素敵に描いています。舞台が教会ということもあるでしょうけど、クリスマスが大好きな私としては心が躍りました。

そして、今作品ではダメなミュージシャンや、ティーンエイジャーの友達など、登場する人物がみんな魅力的。中でも私のハートに一番響いたのは、少し、だらしない男が改心するところ(笑)。なんでしょうか…、これって母性本能なの? 最近、私、そういうのが、たまらなく好きなんです。根っからの悪い人はいない。彼らも、いろいろ抱えているのです。

時代の前後がとても心地よく、素直に〝この親子を応援したい〟という気持ちになる。役を演じるムロさんはもちろん、奈緒さんも大好き。そして今回一男の娘を演じる新人の中田乃愛に注目してほしい。

とにかく、人を思う気持ちの大切さがいっぱい詰まった温かい1本です!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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