エンタメ

『パタリロ!』 お下劣同性愛の元祖的作品!?…哀しき“封印漫画”の世界

『パタリロ!』1978-連載中 魔夜峰央/白泉社

昨今、流行しているボーイズラブ漫画の範疇に入るのかどうかは微妙なところだが、 耽美系少年愛漫画としては先駆的な作品である。その内容は、マリネラ王国の国王パタリロ・ド・マリネール8世(10歳)が主人公のギャグ漫画。英国諜報機関MI6の凄腕エージェント・バンコランや元暗殺者の愛人・マライヒなど、耽美キャラが多数登場する。

第12話『マリネラの吸血鬼』は単行本第4巻に収録されていたが、その後、削除された。内容は時おり展開される推理モノで、「吸血鬼に狙われているから助けてほしい」との病弱な老婦人からの投書を受け、パタリロ一行が急行するというお話。ラジカセを用いた声のトリックが描かれているのだが…。

欠番作品が約30年ぶりに日の目を見ることに…

実はその元ネタが、アガサ・クリスティーの短編『ラジオ』(原題:『Wireless』)を下敷きにしていたため、ある大学のミステリ研究会から著作権侵害で訴えるとのクレームが寄せられた。

その後、版元と協議して欠番になったが、2014年に発刊された文庫版コミックスにおいて、クリスティー社の承諾を得て、約30年ぶりに日の目を見ることとなった。

なおアニメ版では、ゴキブリの大群が登場する第20話『化学騒動』が放送されなかった。こちらは放送時間がゴールデンタイムだったがゆえの配慮と思われる。

あわせて読みたい