階段を上るときよりも下りるときの方が、膝が痛むのはなぜ? という質問をよく受けます。それに対して、いつも私は次のように答えています。
車が坂道を上り下りすることを想像してもらいます。上りはガソリンを消費しますが、ブレーキは使わないのでブレーキパッドはすり減りません。逆に下りはガソリンを1滴も使わずに下りられますが、スピードが出過ぎないようにブレーキをかけながら下ります。そのときブレーキパッドはすり減っているはずです。これを膝に当てはめると、坂の上りは筋力を使ってエネルギーを消費するので疲れますが、膝関節の軟骨がすり減ることはあまりありません。逆に下るときにエネルギーはあまり使いませんが、体が落ちる衝撃を関節軟骨が受け止めるためにすり減りやすくなるのです。膝関節は上りよりも下りの方が傷みやすく、痛みが出やすくなるのです。
階段の下りは大ケガの恐れあり!
階段は素晴らしい発明で、10メートルの落差でも高さを階段で小分けすることで、あまり苦労しないで上り下りができます。しかし、一段が20センチの高低差であっても、軟骨に変形や変性があると、膝などに痛みが生じます。変形性膝関節症の患者さんが、階段や坂道を下るときに膝などに痛みを感じやすいのは、このためなのです。さらに階段の上りと下りでは危険性が異なり、下りで転倒すると転がり落ちて大ケガをする恐れがあります。階段を下りるときは、ゆっくりと行動するように心掛けましょう。
監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp
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