エンタメ

『プロレス深夜特急 プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』著者:TAJIRI〜話題の1冊☆著者インタビュー

『プロレス深夜特急 プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』徳間書店/1980円
『プロレス深夜特急 プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』著者:TAJIRI/徳間書店

『プロレス深夜特急 プロレスラーは世界をめぐる旅芸人』徳間書店/1980円

TAJIRI(たじり)
1970年9月29日生まれ。熊本県玉名市出身。94年9月19日、IWAジャパンでの岡野隆史戦でデビュー。その後、メキシコ・EMLL、アメリカ・ECWなどで活躍したのち、世界最大のプロレス団体・WWEに入団。2021年1月2日、後楽園ホール大会にて全日本プロレス入団を発表。

――プロレスラーの仕事は試合以外にも旅も含まれているとか。実際に今までどんな国を訪れたのですか?

TAJIRI(以下TA) プロレスにお金が溢れている先進国のアメリカから一試合それこそ300円にもならないフィリピンのような途上国まで、数十カ国を渡り歩きましたね。お金がある国とない国によって、プロレスにかかわる者たちの生きざまは大きく異なります。

例えばアメリカではプロレスを極めれば年に億単位で稼ぐことが可能ですが、アジアの貧しい国では年に10万円を稼ぐこともできないでしょう。それぞれに与えられた状況の中で、それでもプロレスを続ける者は何を目指し、何を考え生きていくのか? この本ではそういったプロレス旅の中で出会った「それぞれの生きざま」について書き記したつもりです。

――特に印象に残っている旅(国)はどこですか?

TA ここ最近では香港ですね。大規模民主化デモが起こる数日前に、たまたま訪れたんです。この本では、そのときの緊迫感ある市街の様子も詳しく書き記しています。さらにその後、香港市民がどのような精神的変革を求められ、現在どのようなことを感じながら生きているのかについても現地のレスラーに直接取材しました。

そういえば、香港の飲食店でたまたま遭遇したトイレの汚さは宇宙一でしたね。今でも痛烈に記憶に残っています(笑)。

WWEのトップになれば億単位は当たり前

――アメリカのプロレスは「別次元中の別世界」だとか。一体なにが違うのでしょうか?

TA 一番は稼げるギャラのすごさです。WWEのトップになれば億単位は当たり前です。小さな団体でも、試合合間の休憩時間にグッズを売るだけで、日本のサラリーマンの月収の数カ月分を稼げてしまいます。なので、世界中の若者の多くが今、アメリカ到達を目指しています。

――世界各国のプロレスと比較して日本のプロレスをどう思いますか?

TA 日本には世界で通用する産業や人材がありますが、ことプロレス界においては、そんな超優秀な人間は存在しないですね。しかし、歴史的にもスキル的にも肥沃な土壌はあるはずなので、そこを最大限に有効活用し、世界に通用する感覚を持った者が出現すれば、大きく変化する可能性はあると思います。

そして、再びプロレスが人気ジャンルに返り咲くことができれば、ボクのような者でも過去の経歴だけでいつまでも食っていくくらいはできるでしょうね。是非とも、そうなっていただきたいものです(笑)。

(聞き手/程原ケン)

あわせて読みたい