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JRA重賞『アイビスサマーダッシュ』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

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先週の函館記念の直線、わが軸馬トーセンスーリアの勝ちは確定的、完全無視した1番人気カフェファラオは案の定、後方でもがいている。あとはオレの相手馬来い! と絶叫したものだ。バイオスパーク、ディアマンミノル、サトノエルドールなどが、激しい2着争い。順番に12番人気、11番人気、8番人気。どれも買ってるゾ、すべて高配当じゃ。よっしゃ! と思ったその瞬間、内から14番人気、水口騎乗のアイスバブルが2着? ケッ、買ってねえよ。写真判定のさなか、それでも2着はバイオスパークや、馬連は取れた! と祈ったが…判定は無情にもバブルのハナ差先着とはね。暗転。

オリンピックも始まったし〝バブル方式に穴〟なんだから、バブルが穴でしょ、と後からなら何とでも言えるわい! 世が世ならトーセンスーリアからバイオスパークで馬連50倍余り。サトノエルドールかディアマンミノルがその次なら、3連複も数万円でギャハハとなるところを…逃した魚はクジラよりデカいぜ、って、普段ならアフター競馬の居酒屋で、この話で酒3杯ぐらい呑めて、繰り返しグダまいて、馬友をうんざりさせたことだろう。

しかし、立ち直りの早いボクである。軸馬は間違っていない、予想はズレていない、と根拠のない自信を胸に、新潟名物「直千」のアイビスサマーダッシュに挑戦しよう。そういえば、このレースの記念すべき第1回を、映画業界のウマ好きたちと観に行ったっけ。夏のローカル競馬&温泉麻雀&宴会…いい時代だったなあ。

データ的にはけっこう絞りやすいレースではある。ここは外枠断然有利なのは小学生でも知っている? 運悪く内に入った馬は、人気馬は実力で来る可能性もあるが、基本無視すべし。特に1、3枠は死に目。前走1400メートル以上あるいはダート、そして6歳以上の牝馬も苦しい。1番人気が圧倒的に強い! そして10番人気以下はほぼ来ない! そうなるとおのずとライオンボスに目が行く。前哨戦の直千・韋駄天Sは1番人気を裏切る凡走。これをどう判断するかだが、ボクは、昨年の2着、一昨年の覇者なのに、この前走で多少人気が落ちるのなら(1番人気も危ないかもね)もっけの幸いと見る。

ライオンボスは“ボス”の貫禄を示すか?

あとは枠順。6枠以降ならラッキー! と念じて枠順確定のフタを開けたら6枠12番! 良いではないか。過去10年で5回馬券になっている13枠に続いて、4回馬券になっているし。他に外枠を引いた馬では、韋駄天S3着で松山騎乗が心強いロードエース。穴男・石川が乗るオールアットワンスを対抗の2頭としよう。ここから韋駄天を14番人気で勝って今度は人気だがタマモメイトウ。初直千の3歳牡馬は3着が精一杯というジンクスに挑まなければならないが、デビュー以来のご贔屓馬だし川田騎乗のモントライゼ。ローカル好調の丸山騎乗のキンシャサノキセキ産駒グレイトゲイナー。同産駒で松若騎乗のジュランビル。そして昨年3着でラッキー13番を引いたビリーバーへ(昨年は2着ライオンボスが13番で、ビリーバーが12番。今年の逆だ。これはクサいな)。

映画馬券は、ライオンボスから、題名に〝ライオン〟の付く映画を。そのものズバリの『ライオン』(62年)はケニアを舞台にしているが、野性動物は背景に過ぎず、元夫が前妻とその新しい亭主でくり広げるメロドラマ。『冬のライオン』(69年)は王位継承者をめぐり王と王妃の虚々実々の歴史劇で名作の誉れも高い。『ライオンハート』(90年)というジャン=クロード・バン・ダムの格闘技アクションもあった。とはいえ、個人的に最も愛着の湧く〝ライオン〟映画は『ライオンと呼ばれた男』(89年)でキマリ。今も健在が嬉しい(今年で88歳、日本で言えば米寿)往年の大スターで、最近はリバイバル人気のジャン=ポール・ベルモンドが主演した約30年前の作品だ。功なり名とげた男が人生の晩節を見事に処す姿を、最愛の娘を通じて描く男のドラマの傑作だった。父娘の久々の再会シーンが胸を打つ! とにかくベルモンドがかっこいい! 果たしてライオンボスは1着で飛び込み、ボスの貫禄を示すだろうか?

買い目は…馬連⑫から④⑥⑦⑧⑪⑬⑭へ、縦目の⑪⑬⑭BOXも。3連複⑪⑫縛りで④⑥⑦⑧⑬⑭、⑫⑭縛りで④⑥⑦⑧⑬、こちらも縦目で⑪⑭縛りで④⑥⑦⑧⑬へ。馬連10点、3連複16点で直千勝負!

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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