秋華賞、菊花賞と絶対王者が無敗のまま3冠馬となり、〝歴史の目撃者〟気分を満喫した。馬券も菊花賞は〝取りガミ興行〟とはいえ、馬連が的中し〝ボウズ〟は免れた。それにしても3着がディープボンドだったら会心だったのに、ゴール直前に差されたときは天を仰いだね。でも競馬好きは立ち直りが早い。気を取り直して天皇賞・秋へと予想の駒を進めよう。
今回も〝絶対王者〟がいる。最強牝馬の呼び声も高いアーモンドアイである。芝GⅠを7勝(海外含む)はシンボリルドルフやディープインパクト、牝馬でもウオッカやジェンティルドンナとも並び、今回勝てば史上単独最多という記録を打ち立てる。だいたい昔から、牡馬を蹴散らすほどの〝強い牝馬〟が好き。前出のウオッカ、ジェンティルの他、ヒシアマゾン、ダイワスカーレット…特にスカーレットは一度も2着を外したことがない堅実無比さで、わが競馬キャリア半世紀近くの中で〝最愛牝馬〟でもあった。14頭立て最低人気のアドマイヤモナークが2着の年の有馬記念優勝が、馬券的にも忘れられない!
さて、昨年の天皇賞・秋も楽勝し、連覇もかかるアーモンドアイ。東京芝7戦5勝、芝2000メートル2戦2勝、おまけに秋競馬4戦4勝、テッポウ(休養明け)6戦6勝とくりゃあ文句ナシ(唯一の馬券圏外は昨年の有馬記念。中山・2400・冬であった)。これならアクシデントがない限り勝てそう。何かに負けても2着は堅いはず。
というわけで、本来なら真っ先に〝穴〟を狙うタイプなのに、今週も本命の相手探しとなった。格的にはルメールから乗り替わったフィエールマン。今回、福永が騎乗するだけに、先週の絶対王者コントレイル福永に、ルメールが挑戦者だったことの逆で、今度は福永が挑戦者の立場で大本命馬を追いつめるか?の構図だが、この馬、天皇賞・春(3200メートル)を連覇しているように2000は大得意とは思えない。むしろクロノジェネシスの方が距離、馬場適性がありそうで、唯一の逆転候補か。
往年の名俳優“キャグニー”のごとく白熱を期待!
以下両ダノン、一応フィエールマン、東京巧者のダイワキャグニー。香港GⅠ2勝のウインブライトは…もし香港で天皇賞・秋が行われるなら買うが(笑い)、ここは無印ね。
映画評論家としての蘊蓄を傾ければ、ダイワキャグニーのキャグニーは、往年のハリウッド俳優ジェームズ・キャグニーから取っている。戦前戦後にギャング俳優として『汚れた顔の天使』(38年)、『彼奴は顔役だ』(39年)、『白熱』(49年)などで、三白眼でガンを飛ばし強烈な個性を発揮した。ボクは子供のころ、淀川長治氏の『日曜洋画劇場』でこれらを観て、大いに興奮したものだ。さて競走馬のキャグニーが前記の馬たちの間に割って入り、レースを〝白熱〟化させ、〝顔役〟となれるのかどうか、大いに注目したい。
今週も懲りずに3連単⑨→⑦→③④⑥⑪、⑨→③④⑥⑪→⑦、⑦→⑨→③④⑥⑪へ。相手はこれくらいに絞らないとまた〝取りガミ〟もありそう。三連複は⑨~③④⑥⑦⑪。馬連はアーモンド、クロノの大本線〝レズ馬券(牝馬同士)〟でいくら付くのかが問題だ。一番の配当的理想は⑦→⑨→③か、⑨→③→⑦で決まること。取らぬ狸の皮算用だけどね。
秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。
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