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オール巨人「厳しい人」のホントの姿〜島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

オール巨人「厳しい人」のホントの姿〜島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』 
島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』 (C)週刊実話Web

オール阪神・巨人のオール巨人は「厳しい人」の人物評がありますけど、本当はすごく優しくて、真面目な男です。

正統派の漫才だけでなく、人間としても正統派というのかな。確かに、芸や挨拶に対しては厳しいかもしれない。でも、曲がったことが嫌いなだけなんです。多くの芸人は後輩に好かれようと、厳しいことを口にしないものです。

巨人は「稽古しいや」と後輩に会う度に言います。それを面倒くさいと思うか、ありがたいと感謝するか。俺が後輩だったら、ありがたいと思うな。結局、稽古を積み重ねるかどうかで売れる、売れないが決まってきますから。

たとえば、同じ10年の芸歴がある2組のコンビがいて、片方は売れているけど、片方がそうでないとする。そこは稽古量の差だと思います。天才と世間で持て囃される芸人も、元々の才能に加えて、しっかり稽古しているものです。大した才能がないなら、天才の倍は稽古しないと同じようには売れないんですよ。

お笑いの世界に入って、5年や10年経つと先輩・後輩の知り合いも多くなります。すると先輩も新人の時のようには口うるさく言わないから気が楽になる。〝芸人慣れ〟してくるんです。そうなると、流して稽古をする。そして、いつかは売れるだろうと勘違いしてしまうんです。

いつか来るチャンスを掴むためには、ギャグや新しいネタを考えたり、しっかりと稽古を積むことが必要不可欠。だから、巨人のようにいつも「稽古しいや」とアドバイスしてくれる先輩は貴重なんです。

漫才ネタの本数は日本一

彼は今でも新しいネタを作ったり、稽古を積んでいます。もう何十年も師匠と言われるベテラン芸人になっていても、ですよ。芸人は、売れると司会やコメンテーターとしての仕事が多くなって、あまりネタを作らなくなるけど、彼はいまだに新しい笑いを追求している。漫才ネタの本数は、日本一じゃないですかね。

昨年2月、大阪で講演会があって、ちょうど俺の誕生日と重なったんです。島田紳助が食事会を開いてくれて、オール巨人も来てくれた。食事会が始まって30分経つと、巨人は漫才の話ばかりしますよ。その時は「50代には50代の、70代には70代のネタがある」と熱弁を振るってました。70代なら病気の話とかね。「それを探すのが僕らの使命です」。巨人はホンマに真面目なんですよ(笑)。

ちょうどその最中、俺の娘から電話がかかってきた。「今から日本一の漫才師に代わるわ」と巨人に電話を渡したら、「オール巨人です。お兄さんにはお世話になっております。ちょうどいま、お兄さんとネタの話をしておりました」って娘に向かって喋る。「どこまで真面目やねん。うちの娘やから、そんな話し方せんでもエエねん」、紳助も「もうネタの話はエエやんか」とツッコミましたわ。

オール阪神・巨人は漫才も正統派で、下ネタは一切入れない。芸人だから多少のことは許される、とは全く考えていないんです。これまで何百人と芸人を見てきましたけど、一番真面目で尊敬しています。

巨人と会う度に「真面目やな」とふると、「兄さんたちが遊びすぎですわ」と〝真面目〟に返されます。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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