「ゴジラ松井の巨人監督就任に障害はなくなった―」渡邉恒雄氏の逝去で長嶋茂雄“最後の願い”が実現するXデー


長嶋は以前から事あるごとにこの願望を口にしており、松井が2018年に野球殿堂入りした際にも、「松井くんにはいつの日か指導者としてその手で次代の日本を背負える4番打者を育ててほしいと願っています。それが今の私にとって、大きな夢の一つです」とのコメントを残している。

また、松井は別の番組でも、「巨人からオファーがきたらどうしますか」と問われ、「自分の中でどこのユニホームを着るのが一番自然で、情熱が燃えてくるのかと考えたら、もちろん、巨人なんじゃないかと思いますよ」と語っている。

こうした発言を見る限り、松井の心境に変化が起きていることは間違いない。

巨人が松井監督誕生を急ぐ理由

もちろん、松井巨人監督がすぐに実現するのかと言えば、そう簡単ではない。

原から代わって現在、指揮を執る阿部慎之助は就任1年目からリーグ優勝を果たしており、3年の契約期間内で、さらに上の好成績を残すことになれば、当然、「続投」の声が出てくることになる。

ただ、それでも巨人は松井監督誕生を急ぐはずだ。気になるのは、都内の病院に入院している長嶋の健康問題だ。

2021年の東京五輪では松井、王貞治と共に聖火ランナーを務めていたが、松井に支えられながら歩くのがやっとだった姿は忘れられない。

筆者が日課としている長嶋の動静取材では、周辺に変わったところは見られないが、それでも今年2月20日に89歳の誕生日を迎える。長嶋の「最後の願い」が実現する日は着実に近づいている。

【一部敬称略】

文/スポーツジャーナリスト・吉見健明
「週刊実話」2月20日号より

吉見健明(よしみ・たけあき)

1946年生まれ。スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。スポニチ時代は“南海・野村監督解任”などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。著書多数。