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『痛みの悩み相談室』~疲労性・姿勢性腰痛とは?(監修/井尻慎一郎先生)

人間の体重の6割は上半身にあるので、それを支える腰椎と筋肉の負担は相当なものです。寝ていない限り、立っていても座っていても腰の筋肉が上半身を常に支え続けなければならないのです。そして、長時間歩いたり、繰り返し同じ作業をしたあとに起こる筋肉の疲れや炎症による腰痛は「疲労性腰痛」といいます。また、同じ姿勢を続けたことで生じる筋肉の血行不良などが原因の腰痛を「姿勢性腰痛」といいます。座っていると楽なように思いますが、パソコンを相手に長時間同じ姿勢で座っていたり、長時間運転をすると腰の筋肉がこわばり、血行が悪くなります。「疲労性腰痛」と「姿勢性腰痛」は、どちらも「だるい」「張った感じ」のような鈍痛が特徴的で、両方とも最近認知され始めた病名といえます。

最近はテレワークで働く人が増えていますが、運動をせずに長時間座り続けたことで「腰痛や肩こりが酷くなった」という声もよく聞きます。

1時間に1回は背伸びやストレッチ

座ったままで背伸びをしてそのまま左右前後に体をひねる、あるいは時折立ち上がり、無理のない範囲で体操やストレッチを行いましょう。1時間に1回を目安にします。腰痛が激痛の場合は安静も仕方ありませんが、痛くても少しでも動いて生活することが結果的に早く治ります。急性腰痛は、最初から少しずつ動く方が早く治ることが、12年の腰痛ガイドラインで示され、治療の概念がガラッと変わりました。

監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp

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