エンタメ

JRA重賞『根岸S』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

JRA
(C)JRA

座頭市のように「早く目が開きてえなあ…」と思っていたが、先週のAJC杯で〝ざっくり予想〟今年3戦目にして初めて〝目〟が開いた。1、3番人気決着で11倍は、強弱もつけただけにオイシイ馬券となった。この勢いで今週は両目を開きたい。それにしても、先週でも触れたが、今年に入って東の重賞は比較的固めに比べ、西の重賞は馬券圏内に必ず8番人気以下がからみ、荒れっぱなしで手がつけられない。

というわけで、今週の東西重賞、どっちもGⅢで格は同じだけに迷うところだが、西よりは固そうと踏んで根岸Sをチョイスした。今週からいよいよ東京開催だが、緊急事態宣言下では、思うように馬券は買えない。コロナ陽性者の数は減りつつあるが、まだまだ…。次の東京開催あたりまでには晴れて普通に馬券が買えるようになりますように、と地元・府中の馬頭観音に願をかけてきた。

根岸Sの軸は⑭アルクトスか⑥タイムフライヤーだろう。前者はGⅠ馬(南部杯)だし、何より東京ダートが7戦5勝、2着1回という素晴らしい成績だもの。鞍上も主戦・田辺だし。唯一の不安は59キロの酷量。いわゆる〝カンカン泣き〟するかどうかだ。後者は鞍上が早くも今年重賞3勝の〝ルメール無双〟に手が戻るのが何より。気掛かりは東京ダートの成績がイマイチなこと。ダブル本命で流す。この方式を、競馬ファンで知られた森田芳光監督は〝南京玉すだれ馬券〟と呼んでいたっけ。監督が亡くなって、早10年近くの年が経つ。生きていたら今でも競馬談義ができたのに…。監督の分まで長生きして競馬をやり続けよう。

ここからまず東京ダート10戦3勝2着2回の⑤ブルベアイリーデへ。ヤネも今年好調の大野拓だし。逆に③レッドルゼルのヤネは今年絶不調で、先週の東海S勝ちでやっと2勝目という体たらくだった川田だが、先週でふっ切れてくれたかもしれない。馬が東京を含め左ダートはオール連対とは心強い。

今週も“紅一点”を忘れずに加えたい

さて、こだわりの映画馬券だが、わが本命の一頭⑭アルクトスの母名はホシニイノリヲ。星に祈りを。いかにも映画題名でありそうだが…『星に願いを』(87年)、『星に想いを』(94年)はあるけどね。前者はアリ・シーディー主演のメルヘン・ドラマ、後者はメグ・ライアン主演のラブ・ストーリーだった。ボクはアルクトスの激走とコロナ収束を星に祈ろう。

加えて今回、キンシャサノキセキ産駒が2頭出走している。前出の⑤ブルベアイリーデ、そして⑬サクセスエナジーだ。ボクシング・ファンならご存じの〝キンシャサの奇跡〟とは、モハメド・アリが74年、アフリカ、コンゴの首都キンシャサでジョージ・フォアマンに〝奇跡〟の逆転KO勝ちをし、7年ぶりに世界王座に返り咲いたことに因んでいる。この試合はウィル・スミス主演の劇映画『アリ』(01年)やドキュメンタリー『フェイシング・アリ』(09年)でも描かれた。特に後者はお薦め。アリと対戦した10人のボクサーの証言で構成された異色作で、もちろんジョージ・フォアマンも登場し、当時を振り返っていて興味が尽きない。

もうひとつの個人的なこだわりは牝馬。先週のAJC杯で紅一点ウインマリリン推しだったが6着に敗退、来たのは西の重賞・東海Sの紅一点・メモリーコウ(12番人気で3着)の方だった…。推すと来ない、無視すると来る…ほんにお前は猫の庸。牝馬も女性も取り扱いが難しい。嗚呼。で、根岸Sの〝紅一点〟は⑦ヤマニンアンプリメも忘れずに加えたい。同じ武豊騎乗でプロキオンSが9番人気3着なら穴馬の資格はありそうだ。

結論は、⑭アルクトス、⑥タイムフライヤーを馬連大本線に、2頭縛りの3連複も。馬連、3連複の相手は前記各馬に加え、⑫テイエムサウスダン、⑨ヘリオスまで。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

あわせて読みたい