『週刊実話』の読者のみんな、明けましておめでとう。
新年ということで、今年の抱負でも述べたいところだが、まだまだ新型コロナウイルスが猛威を振るっているため、先の見通しが立たない人も多いと思う。
とはいえ、毎年、しっかり見通しが立って予定通りに事が進んだかといえば、そんなことはない。いつもと変わらないと思って頑張るしかないな。
ワクチンの実用化が目前に迫っていたりと、明るい兆しは見えている。それでも今年の前半は、企業の倒産など、景気の悪い話が続いてしまうだろう。
でも、実際は倒産というより、自主的に事業を畳んでしまう人が多いんじゃないかな。そろそろ仕事を引退しようとか、何か違うことを始めようと思ってた人が、コロナ禍を機にその計画を数年早めたというようなパターン。だから、コロナでストップしたのではなく、進化のスピードが早まったということだよね。
俺がやっているアパレルブランド『アリストリスト』も、去年はデパートで開催する期間限定ショップやイベント販売が、軒並み中止になってしまった。その代わりに、ネット通販が前年の4~5倍ぐらいに伸びている。店舗の売り上げがそっくりそのまま通販に置き換わったわけじゃないから、苦しいことには変わらないが、数年かけてネット通販を大きくしていくという計画はあったから、それが早まったというのが実感だ。
コロナが“変化”を加速させた
アリストリストの事務所は銀座にあるんだが、いま銀座では「路面店」といわれる、大通りに面した1階の店舗がどんどん撤退している。人通りが少なくなってしまったし、家賃も高いから仕方ないんだけど、路面店が苦しいという傾向は、実は数年前から顕著だった。今の時代、店で服を買おうと思ったら事前にスマホで調べる。食事をするのもネットで予約して、その店に直行する人が多い。要するに街をブラついて、気になった店にフラッと入る文化がなくなってきているんだよ。コロナがその傾向を加速させたということになる。
これは、悲観してもしょうがない。人々の衣食住や娯楽に対する欲求は変わらないから、そのスタイルの変化にうまく対応できるかだと思う。
映画だって、こんな状況で歴代最高の興行収入に迫るヒット作が生まれた。アメリカのプロレス団体『WWE』も、客を入れる興行をやめて配信に特化したおかげで、過去最高の売上高を出しているらしい。
時計の針が進んだということでいえば、俺のユーチューブ活動もそうだ。
昨年の1月から始めたんだが、始めたきっかけは時代の流れでやっておかないといけないかなぐらいの気持ちだった。だけど、コロナで俺のイベント系の仕事が大量にキャンセルとなり、時間ができたことによって、より本格的に関わるようになったんだよ。
1年が経って慣れてきたこともあり、2021年は昨年に学んだことを活かしつつ、何か新しいこともやってみたいと思っている。
ユーチューブの動画を分析してみると、歌モノが人気なんだよ。東日本大震災の復興イベントに行ったときも、お客さんに響くのはやっぱり歌だった。
俺も今年は、ユーチューブで歌に挑戦してるかもな(笑)。
蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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