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『私立極道高校』 実在の学校を載せちゃった…哀しき“封印漫画”の世界

『私立極道高校』1979-1980 宮下あきら/集英社

宮下あきらといえば、『魁!!男塾』に代表される完全フィクションの不良バトル漫画で知られ、リアルな不良漫画という位置づけでは断然ない。あまりにデフォルメが「直進行軍」のように進行してしまい、右翼方面から脅しの電話が入ったという逸話も残るが、荒唐無稽な漫画の世界でも現実世界との間では、いろいろと物議を醸してしまうようである。

本作が突然連載を打ち切られたのは、作中に描かれた極道高校記念館の展示品の中に、滋賀県に実在する中学校の校章と校名、生徒の実名が書かれ、滋賀県教育委員会から猛抗議を受けたためだ。

教育委員会さすがに看過できず…

該当話を掲載した『週刊少年ジャンプ』は回収措置が取られ、刊行されていた単行本1巻は絶版。これはアシスタントが無断で描いたものだったとされ、宮下は監督不行き届きという形で謹慎処分を受けた。

現在のようにプライバシー云々のない時代だったとはいえ、作品がエリート級の非行少年だらけの漫画だっただけに、さすがに教育委員会側も看過できなかったのだろう。まあ、最も宮下漫画と折り合いが悪そうな組織でもある。

『私立極道高校』は読者人気が高かったため、仕切りなおして連載された『激!!極虎一家』には主要メンバーが総登場。作品は問題箇所を修正した上で復刻された。

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