お笑いコンビ『ナインティナイン』の岡村隆史が、自身のラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』で結婚を発表するなど、ここに来てメディアとしてのラジオがあらためて注目されている。
かつてラジオと言えば、各時代において若者に支持され、さまざまなムーブメントを創出してきた。1970年~80年代には、主に深夜番組からカリスマ的な人気を誇るDJが誕生し、バブル真っただ中の80年代後半には、全国的にFM局の開設ブームが起きて歌番組の内容を大きく変えた。
しかし、90年代後半からは、災害などによって一時的にラジオの重要性が見直されたものの、モニター付き自動車が増加したことで、車内の娯楽がラジオから映像に移行。また、スマホやSNSの台頭により、ラジオの聴取率は低下傾向にあるといわれていた。
ところが今年、コロナ禍における在宅勤務が普及するにつれ、作業をしながらの情報取得やリフレッシュの手段として、ラジオが見直されてきたという。
コロナ禍のイベント減でラジオ局の収益大打撃…
前述のナイナイ岡村は、コアなファンに対してはラジオ番組で発信するスタイルを徹底してきた。コロナ禍の失言は、それが裏目となってしまったが、今回の結婚発表でマイナスを一気に挽回。あらためて聴取者との距離感が近いラジオの魅力を感じさせた。
一方で、今年6月には名古屋のFM局「Radio NEO」が閉局し、7月には新潟県民エフエム放送が破産するなど、ラジオ局が置かれている環境は厳しいものがある。
「ここ数年、ラジオ各局は広告収入の減少を補填するため、ライブなどの集客イベントに注力し、この分野が大きく成長していました。しかし、今年はコロナ禍でイベント収入が大幅に減少しているので、ラジオ各局の決算は厳しいものになると予想されます」(メディアに詳しい経済評論家)
日本初のラジオ放送が始まってから95年、ラジオは未来を見据えて新たな魅力を発信できるのか…。マスメディアとSNSの中間にあるパーソナリティー感が、生き残りのポイントになりそうだ。
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