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歳をとると下肢がむくむ理由〜『痛みの悩み相談室』(監修/井尻慎一郎先生)

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(C)週刊実話Web

しばしば、高齢者の方が下肢のむくみを訴えられることがあります。じっと立ち続けたり、長く座り続けたりすると、下肢のむくみが生じやすくなります。

血液は鉄分を含んでいるので水より重く、血液を下肢から心臓へ送り返すためには、ふくらはぎの筋肉がポンプのように働いて血液を上へ送る必要があります。足首を上下に動かすと、ふくらはぎの筋肉が伸び縮みしてポンプの役目をしますが、じっとしているとこのポンプが働きません。歩いていると下肢がむくみにくいのは、このためです。

まずは内科の医師に相談しましょう

整形外科的に、片方の下肢に障害があると、足首が動きにくく、その足にむくみが生じることがあります。しかし、多くの場合、内科的な原因(加齢による臓器機能低下症、腎不全、心不全、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍など)で生じます。そのため、下肢にむくみが生じた時は、まずは内科の医師に相談しましょう。

外科的(血管外科的)な原因としては、下肢の血管炎、深部静脈血栓症やリンパ管閉塞などがあります。そのほか、薬剤性の原因として、非ステロイド系消炎鎮痛剤による一時的な腎機能低下があります。

治療は、原因となる疾患の治療が重要ですが、じっと座り続ける時は可能なら足を椅子の上に置き、少しでも心臓の高さに近づけます。足を下げたまま座っている場合でも、時々は足首を上下に動かすポンピング動作を行い、血液が心臓に戻りやすいようにすることも大事です。

監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp

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