江本孟紀「ベンチがアホやから!」発言の真相 阪神タイガース番記者がベンチ裏事件簿の取材メモを初公開

命を懸けて阪神を強くしようとしていた江本孟紀

この事実を知る関係者は少ないはずだが、阪神の専属だった神戸T病院の主治医からも心臓病のウラを取っている。

もちろん、引退スクープは頭にあったが、江本が決断するまでは書かないでおこうと決めていた。

当時の江本はある意味、命を懸けて阪神を強くしようとしていた。だからこそ熱意の見えない首脳陣に本気で怒り、絶望し、腹を括って首脳陣を批判したのだ。

筆者にはそんな江本の心理が手に取るように分かっていた。

江本が引退した翌年(’82年)に出版した著書『プロ野球を10倍楽しく見る方法』は大ベストセラーとなり、後には政治家にもなっている。

まさに激動の人生だが、今でも野球への愛情は変わっておらず、自腹で現場に足を向けるなど野球評論家として活躍しているのは嬉しい限りだ。

【一部敬称略】

「週刊実話」4月17日号より

4月10日発売「週刊実話」4月24日号には【阪神球団創設90周年ベンチ裏事件簿】第二弾として「田淵幸一 血みどろ頭部死球 一部始終」をお届けする。

吉見健明

1946年生まれ。スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。スポニチ時代は“南海・野村監督解任”などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。著書多数。