江本孟紀「ベンチがアホやから!」発言の真相 阪神タイガース番記者がベンチ裏事件簿の取材メモを初公開

「何考えとんねん! クソベンチ! アホか!」

担当球団のほぼ全試合を取材する番記者の仕事は、何でもかんでも記事にすればいいというわけではない。

そういうやり方も否定はしないが、記者は選手の本音を聞き出すために日頃から苦心して信頼関係を作り上げている。

選手の首脳陣批判は日常茶飯事だったが、キャリアに影響するような言動はあえて書かないこともある。

スキャンダルをスクープするより、選手が活躍してチームが勝つ方が個人的にも紙面的にもはるかに嬉しいからだ。

まして江本は法政大学野球部の後輩だ。首脳陣批判が伝われば、罰金などのペナルティーや起用法にも影響が出かねない。

江本を追いかけて来た2人の記者と通路の入り口で立ち止まり、そんなことに頭を悩ませていると、ロッカールームから再び江本の怒声が響いてきた。

「何考えとんねん! クソベンチ! アホか!」

反射的に「造反」のワードが浮かんだ。公の場で口にしてしまえば、記者としてはもう書くしかない。

その場にいた2人の記者たちは早くも記者席に戻って本社デスクに江本の荒れた姿とコメントを伝え始めていた。

こうして翌日のスポーツ紙には「ベンチがアホやから野球がでけへん」の見出しが大々的に踊ることになった。