「麻生さんは、まだ『うん』と言わないけど、俺しかいねえんだからな」

7月8日の朝、岸田首相は定例の意見交換のために首相公邸を訪れた側近の木原誠二党幹事長代理、そして自身に言い聞かせるように、つぶやいた。

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内閣支持率が低迷している首相にとって、9月の総裁選に出るための生命線は、麻生太郎副総裁の支持であることは論をまたない。

その麻生氏は、6月に政治資金規正法改正の内容を巡って首相と対立を深めたものの、総裁選をにらんだときに「引き続きキングメーカーでいるために、支援して勝てるだけの候補がいない」（政府関係者）のが実情。

首相は、そこを見透かして「俺しかいない」と語っているわけだ。

実際、麻生氏は「手持ちのカードがない状態」と言える。

距離の近い茂木敏充幹事長は総裁選出馬への意欲を隠していないものの、党内外で支持する声に乏しく、永田町では勝てる候補とみなされていない。

一方、もう1枚のカードとも言える上川陽子外相も、国会での堅苦しい答弁や地元・静岡県知事選での敗北で、資質に疑問符が付けられたまま。

そのため麻生氏は、最近になって「岸田でやれるところまでやるしかない」と周囲に話し、どこまで票を積み上げられるか算段しているという。