「高市一強」の裏で林芳正が動く…総裁選へ広がる“反高市”包囲網

石井準一氏の更迭が生んだ「反高市」の火種

注目されるのが、石井準一・前参院幹事長の動向だ。参院自民党の幹事長を再任されず、後任には青木一彦氏が起用された。春の予算審議では年度内成立が叶わず、予算成立は4月7日にずれ込み、11年ぶりに暫定予算を編成する事態となった。この予算審議をめぐる参院側との軋轢が背景にあったとの見方が出ており、今回の人事は事実上の更迭との見方も出ている。

石井氏は4月に新グループ「参議院クラブ」を立ち上げ、40人超が参加した。当時、石井氏は「派閥ではない」と強調し、高市政権を支えると明言している。ただ、野党とのパイプも太く、少数与党の参院で影響力を持つ実力者だ。参院人事は首相でも手を出さない「聖域」とされてきただけに、永田町では波紋が広がっている。石井氏が林氏と連携するのではないかという観測も取り沙汰され、「石井氏も林氏も留任させておけば敵を増やさずに済んだのに」との声も上がる。

武田良太氏、岸田氏…広がる「包囲網」の観測

林氏の周辺では、ほかにも動きがある。政策集団を立ち上げた武田良太元総務相とは、同じ議連に名を連ね、会食を重ねる間柄だ。連携を探っているとも伝えられる。

注目されたのは、岸田文雄元首相をめぐる一件だ。9月10日の講演で木原稔官房長官が、人事の希望アンケートに岸田氏が回答したことに触れ、「首相をやった後に何をやりたいと言うのかな」と笑いを誘う形で語った。岸田氏は白紙で提出していたとされ、木原氏は翌日、電話で謝罪している。岸田氏周辺の不満は小さくないとされる。旧宏池会のメンバーが林氏のもとに集まりつつあるとの見方がある一方、岸田氏が林氏と必ずしも連動していないとの報道もあり、旧岸田派の動向はなお読み切れない。

もっとも、現時点で「反高市」の陣営が一枚岩になっているわけではない。林氏と石井氏らの連携も、なお永田町の観測の域を出ていない。