「高市一強」の裏で林芳正が動く…総裁選へ広がる“反高市”包囲網

林芳正氏だけ閣外へ…「留任」報道の裏

その中で唯一、要職から外れたのが林芳正前総務相だ。17日の退任会見で、記者から首相とのやり取りを問われても、林氏は言及を避けた。

経緯をめぐっては情報が錯綜している。産経新聞は12日、首相が林氏の意向を確認し、林氏が続投を希望していると報じた。ところが、自民党内には「首相側は留任を要請していないのではないか」との見方も根強い。林氏は役職希望アンケートに何も書かずに提出したとも伝えられ、周辺には「次は閣内に入りたくない」とこぼしていたという。結局、林氏本人も真相を明言しないまま閣外に出たことで、次の総裁選の構図ははっきりしたと受け止められている。

支持率59%でも「一強」と言い切れぬ事情

では、高市一強は盤石なのか。改造後の読売新聞・NNNの緊急世論調査では、内閣支持率は59%と前回から3ポイント上昇し、人事を「評価する」も52%に上った。

ただ、各社の調査を並べると様相は変わる。改造後の上昇幅は3ポイント程度にとどまり、主要閣僚の多くが留任した「刷新感のなさ」から、浮揚効果は限定的との分析も出ている。改造前の調査ながら、時事通信では44.1%と政権発足以来の最低を更新していた。政治資金収支報告書への不記載があった議員の起用にも、厳しい評価が目立つ。

林氏は昨年の総裁選で3度目の挑戦となり、5人中3位だった。ただ1回目の投票では、議員票で高市氏の64票を上回る72票を集めて党内をざわつかせている。一方、党員・党友票は高市氏の119票に対し62票と約半分にとどまり、これが大きな差となった。総務相として26都府県を回って地方行脚を重ねた林氏は、次は地方票の上積みも見込めると自信を深めているとされる。

「政界の119番」が握る議員票の行方

林氏は文科相、外相、官房長官などを歴任した政策通で、堅実な実務能力に定評がある。閣僚の更迭といった緊急時に後任として起用されることが多く、「政界の119番」の異名を持つ。誕生日の1月19日にかけた呼び名ともされ、本人も自認していると言われるほどだ。議員票72票を集めた背景にも、こうした幅広い実務経験があるとみられる。