たけしを一睡もさせなかった夜、息子を球場に忘れた男 長嶋茂雄“伝説の天然語録”【後編】

天然伝説の宝庫だった

“ミスター・ジャイアンツ”長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が肺炎で亡くなったのは、今から1年以上前の2025年6月3日早朝のこと。「わが巨人軍は永久に不滅です」という不世出の名言を遺した男は、グラウンドだけでなく、日常の至るところでも“伝説”を量産し続けた。

「失敗は成功のマザー」「魚へんにブルー」「たけちゃん、誰とゴルフですか?」――笑っていいのか泣いていいのか、いや笑い泣きするしかない「ミスター語録」は今もなお語り継がれている。(2回中の2回)

その愛すべき迷言と天然エピソードを、一挙ご紹介しよう。

長嶋茂雄迷言集・前編】を読む

■第4章 ビートたけしが一睡もできなかった夜

1986年、ビートたけしはフライデー事件(出版社への殴り込み)で謹慎中だった。仕事のない半年間、思い悩んでいたたけしのもとに、一本の連絡が届く。

「ミスターが、たけしさんが寂しいだろうから、ゴルフに連れて行くと言っている」

野球界のスーパースターからの直々の誘いとあって、大のミスターファンを自認するたけしは興奮で前夜一睡もできなかった。

千葉県のゴルフ場に向かうと、すでに長嶋は先に来て練習をしていた。たけしが声をかけると、長嶋は笑顔で手を上げ「おー、たけちゃん!ゴルフですか? 誰とですか?」。自分が誘ったことをすっかり忘れていたのだ。

たけしはTBSの『人生最高レストラン』(2021年3月20日放送)でこのエピソードを語っており、東スポや複数のスポーツ紙でも詳細に報道されている。

その後「ごめん、僕だったよね」と思い出した長嶋と2人でゴルフを満喫し、ふぐ料理店へ向かう道中でも長嶋の運転手への指示が二転三転し、「今のところ左折だった」のUターンを繰り返したという後日談もある。

後に授賞式でこのエピソードをたけしに暴露された長嶋は「懐かしいな」と目尻を下げた。

ゴルフに誘った理由を問われると「たけしさんが落ち込んでかわいそうだと思ったんだよ」とニッコリ――そこには、謹慎中の後輩芸人を気遣うミスターの温かい人間性があった。天然のようで、本質は「人を思いやる心」に満ちていた。

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