ゴジラ松井が長嶋茂雄さんの遺言「巨人監督」をためらう障害

松井秀喜 (C)週刊実話Web
今年6月に長嶋茂雄巨人終身名誉監督が亡くなった。11月21日に東京ドームで開催された「お別れ会」で、“愛弟子”である松井秀喜氏は感謝の言葉を述べた。長嶋さんと松井氏の「約束」について、元スポニチ記者でスポーツジャーナリストの吉見健明氏が明かす。

三奈さんと松井氏の「監督やるやる詐欺」

思えば今年の巨人は暗い話題が多かった。

6月3日には肺炎のため長嶋茂雄巨人終身名誉監督が都内の病院で死去。阿部慎之助監督の下で連覇を狙ったペナントレースも宿敵・阪神タイガースに独走を許し3位に終わっている。

こうした状況の中、今夏から水面下でささやかれていたのが「松井秀喜の巨人軍監督就任」である。

長嶋が死去した翌4日、東京・田園調布の自宅に弔問に訪れた松井は取材陣に対し、「どういう形でまた次の世代に継承していくかは、はっきりした形は見えませんが、長嶋さんと生前に約束したこともあります」と明言を避けたが、「長嶋との約束」が巨人監督就任であることは間違いないだろう。

実際、次女の三奈さんは葬儀でも生前の長嶋が松井の巨人監督就任を心待ちにしてリハビリに励んでおり、リハビリを頑張ってもらうため、松井と「監督やるやる詐欺」を“共謀”したエピソードを明かしている。

一連の発言にファンも読売関係者も色めき立った。

メジャー挑戦を巡って松井と巨人の関係がこじれているのは有名だが、最大の障壁だった渡邉恒雄氏はもういない。

加えて、夏場に入ってチームが失速し阿部の采配に批判が集まる中、松井待望論が盛り上がるのは当然の流れだった。

長嶋の“遺言”を現実にするため読売グループも松井監督誕生に動くとみられていた。

しかし、現実はそうはならなかった。

秋口になる頃には松井監督の話題はすっかり影を潜め、それどころか巨人の山口寿一オーナーはまだペナントレースが終っていない9月の段階で「来季はもちろん阿部監督に立て直してもらいます」と早々に阿部続投を明言。

さらに10月に入ると、二軍監督の桑田真澄や一軍ヘッド兼打撃チーフコーチ・二岡智宏、三軍監督・駒田徳広の退団が発表されるなど、内部の不穏な動きも表面化している。

松井監督構想はなぜ頓挫しているのか。それを知るには、まず今夏以降の次期監督を巡る水面下での動きを見る必要がある。

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